2014年6月2日月曜日

5月の読書

もうほとんどマンスリーになってしまいました。最近暑くて書きこみする気力も失われがち。まあ何とか生きて、本文読んでます。そこそこ。

【ランチのアッコちゃん】柚木麻子(双葉社)
 女子OLの自分探し小説。ちょっとドラマっぽい。それも最近の。というわけで、それが好きか嫌いかで、この小説も好きか嫌いかが分かれそう。わたくしは。。。もうちょっと変わった話のほうが好きです。

【おはなしして子ちゃん】藤野可織(講談社)
 「爪と目」以外は、まあまあかなと思っていたこの作家。どうしてどうして。なかなか面白いものを書くじゃあありませんか。ちょっと気持ち悪いというか、ぞっとするような内容もあって、こういうの好きです。(好き嫌いがはっきりしています。はい)

【縮みゆく男】リチャード・マシスン(本間有訳・扶桑社)
 古典的SF。毎日数インチずつ小さくなっていく男の話。単純なホラーかと思いきや、社会の病質や人間の弱さ(強さも)を描き、ラストはどこか宗教的な色合いさえある。

【聞く力-心をひらく35のヒント】阿川佐和子(文春新書)
 ベストセラーになりましたな。話の内容もさることながら、この人の語り口は絶妙。面白がらせてためになる。ベストセラーになるのも納得。聞く力は、わたくしには役に立ちそうもありませんが、中身の面白さは抜群です。

【アグリーガール】ジョイス・キャロル・オーツ(神戸万知訳・理論社)
 キャロル・オーツのヤングアダルトもの。原題は「アグリーガールとビッグマウス」。いつも面白おかしい話ばかりしている少年が、そのジョークのおかげで窮地に立たされる。そうすると、いままでそのジョークで楽しんでいたはずの周りの人間から疎ましがられてしまう。そこで味方になってくれたのは、普段はほとんど話しもしたことのないクラスメート「アグリーガール」。青春モノだけれど、どこかに社会の矛盾を厳しく問いただしているようにみえるのは、やはりキャロル・オーツだからか。

【吸血鬼カーミラ】レ・ファニュ(平井呈一訳・創元推理文庫)
 超古典ホラー。吸血鬼モノの元祖と言われる表題作をはじめとする短篇集。あからさまに「怖い」というのではなく、なんとなく「ぞっとする感じ」。ただ、この翻訳は古臭くて話にならない。それを我慢して読むこと。

【ポースケ】津村記久子(中央公論社)
 五位堂ですか。ローカルですね。自分探し、に近いんだけど。

【タイム・マシン他九篇】H.G.ウェルズ(橋本槇矩訳・岩波文庫)
【モロー博士の島他九篇】H.G.ウェルズ(橋本槇矩・鈴木万里訳・岩波文庫)
 SF古典。最近のマイブームです。どれも素晴らしい、という訳にはいかないですね、さすがに。今読むと「なんと古臭い!」と思わず言ってしまいそう。それでも精一杯の「科学的根拠を持った小説」にしようとする試みは読み取れます。まさに古典。

【ライトノベル創作教室】ライトノベル作法研究所(秀和システム)
 ライトノベルの書き方のコツ。なんだけど。同時に「ライトノベルの構造論」になっているところが面白かった。どういう具合にできているのか、がよく分かる。ライトノベルの「読み方」の参考にもなるかも。でも、「もういいか」という気にもなるから、注意。

【何者】朝井リョウ(新潮社)
 直木賞受賞作。就活する学生たちの奮闘。悩み、苦しみ、迷いながら、自分がなりたい「何者」かを探す日々。ああ、青春ですなあ。とはいっても、わたくし「就活」というものをほとんどしたことがないので、実感というか、共感はあまりできませんでした。でもいろんなことに悩んでいた学生時代のことは、ちょっと思い出しましたよ。就活をしていないわたくしにもそういう感情を呼び起こさせるくらいによくできた作品、ということなんでしょう。ああ、甘酸っぱいですなあ。

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