2014年4月28日月曜日

Kindle WhitePaper 買うてもおた(^^)

ずいぶんのご無沙汰でした。前回書き込みが4月8日ということなので、ほぼ3週間ぶりになりますね。ちょっと忙しくなるとすぐに滞ってしまうのですね。前に「できるだけ毎日書くようにします」なんて書いていたと思うのですが。不言実行の真逆をいっていますね。我ながら情けない。

書きためている(読みためている)本の感想文はあとまわしにして、表題について。
アマゾンで2,000ポイントキャンペーンのようなものをやっていて(らしい。詳しくはぶたこが知っている)、Kindleホワイトペーパーも安くなっているよと教えられ、ではこの際だからと買ってしまったのでした。

届いたのが水曜日だから、もう5日経っていますね。
早速、アマゾンの無料本を購入(こういうのも購入というのか)。ちなみに、ぶたこもすでに何冊か購入していて、同じIDを使うことにしたので、ぶたこが購入した本も読むことができるのですね。
今日までに読んだのは、小栗虫太郎「人外魔境01有尾人」、梶井基次郎「檸檬」「櫻の樹の下には」、森鴎外「舞姫」、折口信夫「死者の書」

実際に使ってみての感想ですが、いやあ快適です。なんといっても「どこでも読める」。周りの環境にあまり左右されないというのがいいですね。普通の本なら、ある程度の明るさが必要で、昼間でも電灯を点けないと読めないことがあるんですけど、Kindleはバックライトなのでその心配は一切なし。明るさの調整もできるようなのですが、わたくしにはデフォルトの状態がちょうどいいですね。
大きさ、重さも、まずまず。というか、これでぴったりという気がします。これより小さいと文字の大きさ(1ページに収まる文字数も含めて)が気になるでしょう。重さは、同じ大きさの単行本より軽いぐらい。

まあ、白黒で、画面の愛想はないとも言えますが、ただ本を読むだけだったらこれくらいスッキリしていたほうがいいですね。余計な機能がない分、使いやすいわかりやすいといこともありますし。

さて、引き続いて無料本を何冊か入れて持ち歩こうと思っています。
あ、一つだけ解決していないことが。。。。

どうやって持ち歩くか。
かばんからサッと出してサッと読む、というのがかっこいい使い方だと思うのですが(かっこよさの問題かい)、普段はバックパックで出かけることが多いのですね。そうするとどこに入れるか、どこに入れれば一番便利がいいか、使いやすいか、というのをちょっと考え中です。今のところ、新品で愛おしいので(^^ゞ、ハダカで持ち歩く気になれず、100円ショップの袋に入れてバックパックに、という風にしています。

2014年4月8日火曜日

【ほどほどにちっちゃい男の子とファクトトラッカーの秘密】ジェイソン・カーター・イートン(小林美幸訳・河出書房新社)

「ちっちゃい男の子」が主人公、ということで児童小説です。というより、ヤングアダルトかな。まあそんなジャンル分けはどっちでもいいことで。
ある町(名前を忘れた。すみません)では、あらゆることを「ファクトトラッカー」つまり「事実を捉える」人が握っている。恐ろしいように思えるけれど、この人はそんなに悪者でもない。ただ「事実」「真実」にこだわりすぎ。そしてありとあらゆる真実を、街の皆さんに提供する。だがあらゆることを街の皆さんが聞いてくるのに閉口して、ついに「自動で真実を答える」装置を発明する。ところがそれを起動しようとした時、嘘ばかりをつく男が現れて、町中を混乱させ、ついにファクトトラッカーも捉えられ、町は嘘ばかりになってしまう。さて、ここに「ほどほどにちっしゃい男の子」登場。彼は自分の「真実」が知りたいのだが、ファクトトラッカーは囚われの身。さあ、男の子は町の危機を救うことができるでしょうか?

あくまでも軽い語り口(翻訳の妙もあるのでしょうが)で、まるでロアルド・ダールのようなファンタジーが繰り広げられます。
もちろん最後はめでたしめでたし、なんですけど、「善」が勝ち「悪」が滅びる、という単純な図式になっていないところが気に入ってます。
かなり教訓的な話だと思うのだけれど(内容も深いし)、教訓臭さがあまりないですね。こういう話が書ける日本人作家はいるでしょうか?

【爪と目】藤野可織(新潮社)

芥川賞を受賞した表題作他の短篇集ですね。
表題作は、どうやらわがままな継母(かなり若いらしい)との幼児体験を語るわたし、というもの。父を実母から引き離し(たぶん)、妻となった後も浮気を繰り返す継母を嫌悪しながら、どこかにシンパシーを感じている、というところが、実際の行動よりも恐ろしい気がしました。そんな読み方をするのはわたくしだけでしょうが。わたくしが男だから、その恐ろしさが際立って見えるのかも。女性が読むと「なんじゃこら」ということになるのかもしれませんね。(ウェブにはかなり辛辣な書評もあります)
で、この作家がなかなかの力量かなと思ったのですが、他の2篇はどうにも普通の小説過ぎて肩透かしを食らった感じ。まあこれから「爪と目」を基板として育っていく、ということなのかもしれませんが。

それにしても、短いですね。本も薄いです。これで1200円もするのかあ、と。

2014年4月6日日曜日

【四畳半神話大系】森見登美彦(太田出版)

いつもどおりの京都の学生話。いつもどおりの奇想天外な展開。しかし私はハマっています。
村上春樹を読んだあとでは、さらに面白さ倍増であります。間違いなく。

鴨川幽水荘(だったかな)で暮らす主人公。いつもどおり、とても情けない学生生活。その一端を、4つの物語で話します。
同じフレーズの繰り返し、同じシチュエーションの、視点が変わっての繰り返しの面白さ。まるで落語のようでもあり、よくできた芝居のようでもあり。それ以上に物語の構成力の高さに驚きますね。

いつもどおりのキャラクターたちの大騒動、なんだけど、楽しませてくれます。

【アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること】ネイサン・イングランダー(小竹由美子訳・新潮社)

3月の読書の総ざらえ。を目論んでいます。

アンネフランクの本がいろいろ傷つけられたという話は悲しかったです。どうやら犯人も捕まったようでひと安心ですが。

ネイサン・イングランダーという人についてはよく知らなかったんですが、題名が面白そうなので読んでみたのです。これは、例の事件が起こる前に借りたのですけど。

題名から想像できるように、著者はユダヤ人で、そのアデンティティについて考えさせられる物語がいくつか連ねられています。
ただ、単純に題名から想像できるような暗い歴史とかいうことだけでなく、時にユーモアもあり、まあもちろん考えさせられることもあり、という内容ですね。

実はもうだいぶ前に読んだので、それくらいの印象しか残っていないのです。
ひとこと言えることは、この作家は多分、自分がユダヤ人であることに誇りとか大切なことという考えはなく、ただそれを受け入れ、さてどうしたものかということを書いているということ、だと思いますね。大した感想じゃなくていけませんね。
やっぱり、読んですぐに感想を書かないと。

2014年4月2日水曜日

【ユリシーズ】ジェイムズ・ジョイス

はい。とうとうというか、やっとというか、ついにというか。読みましたよ。「ユリシーズ」
ぶたこに「どういう話やのん?」と聞かれたけれど、ヒトコトでは説明しにくいです。というか、一言で言うと、
「レオポルド・ブルームというやつが、その友達のスティーブン・ディーダラスと、ダブリンの街を過ごすある一日の話」
ということなんですけどね。
特にこれ、といった事件が起こるわけでもありませんし。

18の章に分かれていて(それぞれなぜか「挿話」と呼ばれる)、それぞれに(文学上の)実験が試みられているのですね。
特に後半になると、物語の中で文体が古いものから順番に新しいものに変わっていくとか、戯曲の形式になるだとか。極めつけは最終挿話(ペネロープ)で、日本語訳では句読点が一切ないのですね。丸谷才一訳の河出書房新社版では、感じもなくすべてがひらがなという徹底ぶり。

あ、そうそう、訳本は、丸谷才一他訳の集英社版と河出書房新社版、それから伊藤整訳の新潮社版と、色々読んでみました。この場面はこっち、この挿話はこっち、とかいうふうにね。読みやすいのを探すつもりでそうしたんですけど、どれも読みやすくはなかったです、結局は。

肝心の話の内容は、面白いんだかどうなんだか、というところです。反宗教的な内容が盛り沢山だし、下ネタも盛りだくさん。英語本文で読んだら、もっと面白いことがわかるんでしょうけど、面白さを理解するためには、半端じゃない英文能力が要るようです。

で、それを(無理矢理に)日本語に訳したわけですから、訳しきれなかったところがあったに違いありません。それは想像するしかないわけですが。

逆を考えて見ればわかりますよね。日本語を英文には、完全には訳せないわけですから。
「その手は桑名の焼き蛤」とか「恐れ入谷の鬼子母神」とかいうのを英語に訳せ、といっても、まあそのまま翻訳することができるでしょうけれど、本来の言い回しの面白さはとても伝わらないわけで。

で、どうやらこの「ユリシーズ」の面白さは、そういう英語表現の面白さにあるらしい、という「らしい」しかわかりませんでした。想像の世界ですね。

これを読んで人生が変わるとか、文学の奥深さを感じるとかいうことは、あるのかなあ。あるとしたら、文学の表現方法の可能性、というところでしょうかねえ。とはいえ、句読点のない文章を改めて書いてみようと思う作家はいないと思いますが。こういうのは「コロンブスの卵」で、最初にやった人が偉いのですね。そして、それに続く人が出てくるかというと、そういうわけにはいかない。発想は面白いけれど、発展性はないかなあ。

それでも「ユリシーズを読んだ!」と、人に自慢はできそうです。それが自慢になるかどうかは別ですが。
そして、これから読もうとする人にアドバイスを送るとしたら?

別にこれを読まなくても、後悔することはないと思うよ、と言いたいですね。