2014年4月8日火曜日

【爪と目】藤野可織(新潮社)

芥川賞を受賞した表題作他の短篇集ですね。
表題作は、どうやらわがままな継母(かなり若いらしい)との幼児体験を語るわたし、というもの。父を実母から引き離し(たぶん)、妻となった後も浮気を繰り返す継母を嫌悪しながら、どこかにシンパシーを感じている、というところが、実際の行動よりも恐ろしい気がしました。そんな読み方をするのはわたくしだけでしょうが。わたくしが男だから、その恐ろしさが際立って見えるのかも。女性が読むと「なんじゃこら」ということになるのかもしれませんね。(ウェブにはかなり辛辣な書評もあります)
で、この作家がなかなかの力量かなと思ったのですが、他の2篇はどうにも普通の小説過ぎて肩透かしを食らった感じ。まあこれから「爪と目」を基板として育っていく、ということなのかもしれませんが。

それにしても、短いですね。本も薄いです。これで1200円もするのかあ、と。

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