2014年4月8日火曜日

【ほどほどにちっちゃい男の子とファクトトラッカーの秘密】ジェイソン・カーター・イートン(小林美幸訳・河出書房新社)

「ちっちゃい男の子」が主人公、ということで児童小説です。というより、ヤングアダルトかな。まあそんなジャンル分けはどっちでもいいことで。
ある町(名前を忘れた。すみません)では、あらゆることを「ファクトトラッカー」つまり「事実を捉える」人が握っている。恐ろしいように思えるけれど、この人はそんなに悪者でもない。ただ「事実」「真実」にこだわりすぎ。そしてありとあらゆる真実を、街の皆さんに提供する。だがあらゆることを街の皆さんが聞いてくるのに閉口して、ついに「自動で真実を答える」装置を発明する。ところがそれを起動しようとした時、嘘ばかりをつく男が現れて、町中を混乱させ、ついにファクトトラッカーも捉えられ、町は嘘ばかりになってしまう。さて、ここに「ほどほどにちっしゃい男の子」登場。彼は自分の「真実」が知りたいのだが、ファクトトラッカーは囚われの身。さあ、男の子は町の危機を救うことができるでしょうか?

あくまでも軽い語り口(翻訳の妙もあるのでしょうが)で、まるでロアルド・ダールのようなファンタジーが繰り広げられます。
もちろん最後はめでたしめでたし、なんですけど、「善」が勝ち「悪」が滅びる、という単純な図式になっていないところが気に入ってます。
かなり教訓的な話だと思うのだけれど(内容も深いし)、教訓臭さがあまりないですね。こういう話が書ける日本人作家はいるでしょうか?

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