2014年8月5日火曜日

鹿島田真希 3題

あそこでは大雨、こちらでは猛暑と、日本の気候はどうなっているのかと思いますね。こんなんでオリンピックとかやって大丈夫なのかなとか。夏場じゃなくて、前回の東京五輪と同様に秋にやったらどうなのかなとか。オリンピックは夏のもの、というイメージが大きいから仕方ないかもしれませんが。

【ハルモニア】鹿島田真希(新潮社)
【女の庭】鹿島田真希(河出書房新社)
【暮れていく愛】鹿島田真希(文藝春秋)

前に読んだ「冥土めぐり」(芥川賞受賞作)が、まあまあ面白かったので、新刊が出た(ハルモニア)を機会にちょっとまとめて読んでみました。といっても、それぞれが短いものですから、すぐに読めてしまうのですけれど。

「ハルモニア」は、音楽大学に通う4人の学生たちの話。才能豊かな(でも他人との関係には無頓着な)ナジャを中心に。まあ話の中心は語り手「僕」とナジャとの恋愛、ということになるのかな。恋愛に関しても、「音楽を極める」手段としかとらえられないようなナジャと、それを知りつつ心惹かれる僕。理愛し合えないことを前提に理解する、という難しいことをやってるような気がしますね。まあそれって、日常でやっていることかもしれませんが。
音楽大学が舞台なのでということもあってか、いろんな例えが音楽用語や楽曲解説のように出てくるのですね。音楽に明るくない人が読んでも分かるのかなあ。シンフォニーのように恋愛する、って言われてもねえ。

「女の庭」は、ちょっと怖いです。マンションでの主婦たちの井戸端会議。隣に引っ越してきた外国人女性。多分ひとり暮らし。もちろん格好の噂の種。しかし、ふと自分も他人には同じように見られているのではないかということを考えると、恐ろしいし、そうならないように話を合わせようとしたりして。

「暮れていく愛」は、夫婦のモノローグが交互に出てくる構成。それぞれが相手を思いやり、思いやるあまりに苦しくなる。自分勝手に相手を束縛しているのではないか。いやひょっとしたら浮気をしているのかも。自分と居るのが嫌になった? そうならないようにしたい。いつも一緒にいたい。相手を自由にさせてあげたい。
相手を思いやることが相手を束縛することにつながるかもしれないのですね。愛は難しい。

どの話も、「相手との関わりをどうするか」ということを、とても突き詰めて書かれているなあと思いました。二重三重に物事を捉えだすと、無限ループにはまってしまいそうになるんですけど。そこが面白いと思いだしたら、自分自身が逃れられなくなりますね。

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