2014年2月8日土曜日

【ホモ・ファーベル】マックス・フリッシュ(中野孝次訳・白水社)

外は雪です。20年に一度の雪になりそうだということですね。かなわんなあ。こういう時は外には一歩も出ずに家で読書、といきたいのですが、そういうわけにもいかないようで(詳細は伏せておきましょう)。

白水社が出版していた「新しい世界の文学」のシリーズの一冊。
「新しい」といっても、このシリーズが出版されたのは60年代ですから、その時点での「新しい」ということですね。もちろん、今でも新しさを感じさせる作品もたくさんあるわけです。(ちなみに、このシリーズの一冊にサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」もあったのですね。)

さて、この一冊。マックス・フリッシュはスイスを代表する作家。物語は主人公のファーベル氏の独白というようなもの。思いつくままに、といったふうに主人公の物語が続く。大した事件は起こらないのかなと読み進めていると、かつての恋人ハンナとの思い出となり(第二次大戦前で、ユダヤ系のハンナと結婚しようとしてできなかった)、そしてその後に出会ったエリザベートという娘との恋となり、実はそのエリザベートは。。。というところから、サスペンスなタッチにもなってくるのですね。そして悲劇。その前後の時間の感覚があれれれれ、となるその雰囲気がいいです。ただ、この主人公の生き方には共感できませんけどね。

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