2014年11月21日金曜日

【天井桟敷の人々】1945年・フランス映画

録りためていた映画の消化。
フランス映画史上、最高傑作の呼び声高い作品です。

3時間を超す大作ですね。でも飽きることなく見れました。とても面白かった。

よく言われるように、脚本が、というか、セリフが素晴らしい。
有名な「愛する者同士には、パリは狭すぎる」を筆頭に、もう全てのセリフを書き留めておきたいと思うくらい、めくるめくような言葉の奔流。しかもそれがわざとらしくないところがすごい。

さらにそれに対抗するかのようなバチスト(ジャン=ルイ・バロー)のマイム演技。劇中劇での表現力の高さには圧倒されます。
友人でありライバルでもあるフレデリックが、バチストの舞台を見て役者としての情熱を再燃させるシーンは、それぞれが実際に素晴らしい演技ができてこその説得力、でしょう。それができる俳優としての技量の高さ。

そしてヒロインのガランス(アルレッティ)。最初はどうってことない町の女風で、しかし言うことがとても粋で、その魅力に引き込まれるという設定が、映画が進むに連れて納得させられてしまいます。

ラストシーンは、なんなんだろうと考えさせられてしまいます。落ち着くべきところに落ち着くわけではないというところが、フランス好みなのでしょうか。
「これから先のことは、さあ皆さんでどうぞご想像ください」というところなのかも。

ともかくも、今やこういう「粋なセリフ回し」で見せる映画というものはなくなってしまったような気がします。その意味では、貴重な作品なのでしょう。

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