【そのように見えた】いしいしんじ(イースト・プレス)
【放浪の聖画家 ピロスマニ】はらだたけひで(集英社)
いしいしんじを久しぶりに読んだ。なんか懐かしい。書きっぷり。その視点。すべてが平面上にある。日常が物語に流れ込んでくる。いしいさんの目にするもの、耳にするものを私たちはその文章から、いしいさんの目を通して、耳を通して見て、聴く。そうすると今まで見えていなかったものが見え、聞こていなかったことが聞こえてくる。いろんなことがあっていい。いろんなものがあっていい。というのは、言葉にすれば簡単だけれど、ほんとうの意味で自分はそれを受け入れているのか。そんなことまで考えさせられてしまう。癒される、というのとはちょっと違う。でも、このまま生きていててもええんかな、と、ちょっとほっとさせられる。
そのいしいさんの本の中でも紹介されていた画家がピロスマニ。というつながりで、図書館でその名前を見かけたので、これも何かの縁だろうと手にとって読んでみたのだった。
ピロスマニの絵そのものはとても素晴らしいのだけれど、この本はそれぞれの絵の紹介、というものにとどまっているような気がする。まあピロスマニ入門、といったところなのだろうか。妙にグルジア(今はジョージア)にこだわりすぎているようなところがちょっと鼻につくところ。それでもピロスマニの絵はすばらしい。百の文章よりこの絵。
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