2016年9月3日土曜日

【キリスト教入門】山我哲雄(岩波ジュニア新書)

クリスチャンの中には、キリスト教のことをよく知らない人は多い。
これは別に驚くべきことでも何でもなく、宗教というのはそういうものなのだろうなあと思う。その宗教に関する知識が深いから信じる、というわけではない。信じる信じないは知識とは別のところにある。だから信じたあと「騙された」という人が時々出てくる。

かく言うわたくしもクリスチャン(プロテスタント)ではあるのだが(ということは神さまを信じているということになるのだが、ここでは深く掘り下げない)、実はよく知らないことは多い。というか、ほんのちょっとしか知らないんだろうなあ。

だいたいキリスト教と一言で言っても、宗派は様々である。大きく分けて3つ(ということぐらいは知っていた)。カソリック、プロテスタント、そして東方正教会。
でもカソリックとプロテスタントぐらいはわかるけど、東方正教会についてはほとんど知識がない。だいたいどうやってキリスト教が生まれて、そこからどういう紆余曲折を経て今のたくさんの宗派に分かれたのだか。カソリックからプロテスタントに分かれたのは、ルターが何かやったから(なんかって何?)ということぐらいは知っていても。

ということでちょっと知識として知りたいなと思ったのだった。
そういうとき「岩波ジュニア新書」が、読みやすくて分かりやすくていいですよ、というのを書いてくれていたのは「51歳からの読書術」を書いた永江朗氏であった。
「ジュニア」だから分かりやすい。といって手を抜いているわけではない。また、偏ならないようにという配慮もある(はず)。

もちろん2,000年の歴史を持つキリスト教の全てを、1冊の新書にまとめるのは至難の業。しかしそれをやってのけているのがすごい。この背後にある著者の苦労に感服します。

そういうわけで、今まで知らなかったこと(特に東方正教会について)がいっぱいよく分かりました。東方正教会(東方教会)って、カソリックみたいに頂点のある組織じゃないのだね。国ごとに、地域ごとに独立している。知らんかった。
聖公会の成立経緯についても、何となくは知ってたけど。
新約聖書の福音書よりも、ペテロの手紙のほうが先に書かれていた!
などなど。

それぞれの宗派の礼拝(典礼)や儀式(秘蹟)についても詳しく書いてあって、とても興味深い。
最後の方には、エホバの証人や統一協会のことまで書いてあって、もうこれ一冊で十分です。

世界が寛容になるためには、お互いの立場や考え方や宗教観を理解する(信じるのとは違う)のが大切。そういうことから言うと、こういう本はとても便利。

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