2015年1月19日月曜日

【アメリカのパイを買って帰ろう】駒沢敏器(日本経済新聞出版社)

「沖縄 58号線の向こうへ」という副題のついたルポです。
58号線というのは、沖縄の中心を走る国道で、もともとは軍用1号線だったということです。つまりアメリカ軍御用達の道路。

沖縄の人たちが「ふるさとの味」として、帰省した時には必ず食べる(またおみやげに買って帰る)パイを目にした著者が、なぜ「アメリカのパイ」が沖縄のふるさとの味なのか、という疑問を持ったところから始まる、沖縄の戦後文化史です。

著者は何度も沖縄に足を運び、地元の人達の声を丹念に拾い集めて、沖縄の戦後史、特にアメリカ軍とどのように付き合ってきたのかを探ります。

そこで浮き彫りになる沖縄の抱える問題の大きさ。というのはあるとして。
もっと迫ってくるのは、置かれた状況を受け入れ、自分たちのものとしてしまおうという沖縄の人たちの力強さ、たくましさです。

著者の取材姿勢が、沖縄とそこに住む人たちに対してのリスペクトがきちんとあって、そのうえで自分の意見もはっきりと言う、というところが、とてもいいかんじです。もっと読みたくなりますね。

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