2015年1月29日木曜日

【エヴリシング・フロウズ】津村記久子(文藝春秋)

呑気に本なんか読んでる場合じゃない、のかもしれないけれど、なにが出来るわけでもない。仕方なく本でも読もう。

本を開いて、見取図を見れば、地元民ならそこがどこか一目で分かる大阪の下町。かつては渡し船があり、今はループ橋(眼鏡橋と呼ばれる)が掛かる川を渡ると、大きな工場、そしてイケア。

そんな下町で、中学3年生になったヒロシ。同級生たちや塾友だちとの日々。
みんなはこれからどこへ向かうのか。

いじめあり、DVあり、と、ちょっと読むと普通の青春小説。
でもそこは津村流に、心の動きを辿っていっています。

この小説の中では悪者だけど(名前忘れたけど)、ちょっとカッコよくてモテ系で、自分に自信があって、その自信を保つことに一生懸命で、そういう自分と価値観が違う奴を見ると我慢できなくなってしまう、というキャラは、どこか普遍的に「どこにでもいる奴」を思い浮かべてしまいます。その人の存在を否定はしないけれど、「どっか、ちゃうんちゃう?」と言ってあげたい。
そこがこの作品を、大きくしていますね。

いつか、この「眼鏡橋」に行ってみたい、と思いますよ、きっと。すぐ近くなんやけどなぁ。


0 件のコメント:

コメントを投稿