2016年3月8日火曜日

【しろいろの街の、その骨の体温の】村田沙耶香(朝日新聞出版)

新興住宅地。広がっていく「街」。
小学4年生の結佳は、習字教室で一緒になった同学年の伊吹と仲良くなり、伊吹を「おもちゃ」にしだす。
中学生になると、開発は頓挫し「街」は広がらなくなってしまう。
結佳と伊吹の関係も、今までどおりではなくなる。

始めは、学校の女の子同士の関係を書いたものか(姫野カオルコの「ツ・イ・ラ・ク」みたいな)と思ったが、後半になって、単なる「子供小説」ではないものが立ち上がってくる。
書かれているのはほぼ子供の世界だけなのに、何か強い訴えかけがある。
主人公には共感するところがたくさん。ああ、分かる分かる、とのほほんと読んでいると、いきなりガツンッと。。。。

西加奈子が「小説は、ひとつのことを言うために何十ページも何百ページもかかる」と言っていたが、この小説も、言いたいことは一つだけなのかもしれない。あ、それが何かは、読んだ人が感じるものだろうけど。だから言わないよ。
で、何が言いたいかは、最後まで読まないとわからない、ということ。どんな小説も、読んでみないと分からない。

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