2016年3月1日火曜日

【餓鬼道巡行】町田康(幻冬舎)

気がつけば月が変わっていたのだった。もう3月。あっという間。
1日1日を積み重ねているうちに、積み重なった日々はどこへともなく消え去ってしまい、今は「今」しか残っていないのである。

町田康は、家のリフォームを思い立った。そして大工さんに命じてキッチンを撤去した。が、次のキッチンが出来上がらない。というわけで外食することにした。
さて、ここで問題発生。
町田康は何かにつけてああでもないこうでもないと考えを巡らせる癖がある。
外食するにも、この店に入ったらどうなるのだろうああなるのだろうそうなったらかなわん、などということを考えすぎるがゆえに、街を徘徊することになってしまう。
ようやく1件の店に入ったところで、さて何ゆえにこの店に入ったのかを事細かに説明しなくては気がすまない。さらに注文した品を何ゆえに注文したのかを事細かに説明しなくては気がすまない。さらに注文したしなの出来を事細かに説明しなくては気がすまない。
というわけで、1食終わるたびに読者はくたびれるほどの文章を味あわなくてはならない。
うまいかどうかは、読む人の好みによる。
最後の方に、食をテーマにした(たぶん)詩集つき。

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