2017年1月14日土曜日

【室町無頼】垣根涼介(新潮社)

まあぼちぼちと読書復活。

今年の直木賞候補作を順番に読んでみようと思ったのだった。
ただ、芥川賞候補作と違って、どの作品も「分厚い」単行本なのである。
さらに、すでに人気の高い作品ともなっている。
ということは、図書館で借りようと思っても、順番待ちが何十人も居たりするのである。

というわけで、受賞作が決まるまでに全部は読めないことでしょう。それでも候補作を楽しむというのはよろしいわけで。

【室町無頼】垣根涼介(新潮社)

応仁の乱が勃発する前触れとも言うべき時代。何年も飢饉が続き、しかし幕府はまともな手立てを打つことも出来ず。京都の町は荒れ果てていこうとしている、そんな時代。
町の警護を司る骨皮道賢(実在の人物らしい)は、元無頼の徒。そのような輩に頼るしかないほど町は荒れていたのだ。そしてもう一人、こちらは飄々として町を自在にうろつきまわる(ただし剣の腕前は超弩級)蓮田兵衛(こちらも実在した?)。この二人の間で、棒術の無敵の使い手となる「吹き流しの才蔵」。いや、この才蔵が主人公なんですけどね。
道賢と兵衛の二人の目的は、今の腐った幕府に変わる新たな社会秩序を作ること。
そのために才蔵を育て、そして今日の街で動乱を起こすクライマックスへ。

エンターテイメント性抜群の本ですわ。もう、一気に読ませてしまいますね。
才蔵の棒術の修行も読み応えあり。さらに美貌の芳王子という遊女まで出てきてね。道賢も兵衛も才蔵も骨抜きにされるという場面もあったりして。

歴史には疎いんだけど(特に日本史は)、この前に「応仁の乱」(呉座勇一著・中公新書)を読んでいたので、ある程度はついていけましたね。
まあ、いろんなご都合主義的なところはあるんですけど、それは置いといて、楽しく読んですっきりする小説でしょうね。

ただ惜しむらくは。
道賢、兵衛が最も忌み嫌っていた、当時の社会制度の上に立つひとびとのことが殆ど出てこないことかな。まあ、それは庶民には目にすることも出来ない、ということで納めるしかないのかも。

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