前回の芥川賞候補作ですね。「コンビニ人間」と評価を二分したらしいです。
在日韓国人三世のジニは、小学校を卒業すると、当然のように朝鮮学校へと進学。しかしそこにも(というか、どこにも)自分の居場所が見つけられないようなジレンマに陥ってしまう。そこでジニがとった行動とは。
書き出しの部分で、どうやらこれは叫んでも叫んでもその叫びを無視される悲しみの物語かなと予想はするのだけれど、読み進むうちにそんな単純な物語ではないことが分かってきます。
なんだか矛盾いっぱいの主人公の行動に、初めは「なんで?」と思うけれど、だんだん共感してきて、ついには応援してしまうのですね。筆の迫力に圧倒されますね。
先だって、「また、桜の国で」で、第二次大戦中のポーランドのことを読んで、いやあまだまだ知らんことだらけやなあ、遠い国のことは分かってないことが多いなあと思ったけれど、実は近くの国の、現在のこともあまり良く分かっていなかったのだなあと反省。いや、反省なんかしないけどね。でも、ついつい「見たくないものはなかったことにする」癖がついてるなあと、これは素直に反省します、はい。
これが受賞してもよかったかな。文句なしの作品。これから語り継がれていくべき作品かもしれません。頑張れ。
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