2017年1月23日月曜日

【いい人になる方法】ニック・ホーンビィ(森田義信訳・新潮文庫)

アメリカは多民族国家だし多様性を標榜してきたのだから、これからもそういう国であってほしいと、海のこっちがわからだけど、親しい間がらなんだしということで、そんなふうに思うのです。

【いい人になる方法】ニック・ホーンビィ(森田義信訳・新潮文庫)

女医のケイティの夫デイビッドは、新聞のコラム欄に毒舌コラムを載せる仕事をしている。もちろん家の中でも何かといえば皮肉と毒舌。医局では「常連」患者に心を悩まされ、二人の子供にも手を焼くケイティは、あまりの苦しさについ離婚も考え始めている。
と、そんな時、腰痛を治そうと怪しげなヒーリングに出かけたデイビッド。帰ってきたら信じられないくらいの「善人」となってしまい、ホームレスを家に泊めてあげる、ヒーリングをしてくれたグッドニュース(そういう名前なのだ)も家に住まわせる、子供のおもちゃも福祉団体に寄付してしまう。
あまりの善人ぶりに、逆に頭がおかしくなっていくケイティなのであったが。

「アバウト・ア・ボーイ」の原作者、というと映画を見た人にはピンとくるだろうが、皮肉と諧謔とアイロニーと、などなどが入り混じり、そこにユーモアもプラスされて、さらに語り口も「いかにも」というものがあって、クスクスとしながら読んでしまいます。

それでいて、終盤の「マヌケのブライアン」をディナーに招待する場面では、シリアスな問題も明らかにされて。普段、どれだけ自分たちが「善人」の仮面をかぶっているのかを思い知らされる気分でした。


【ソングブック】ニック・ホーンビィ(森田義信訳・新潮文庫)

そんなニック・ホーンビィの、音楽案内。というか、好きな曲が「なぜ好きか」を綴ったエッセイのようなもの。どの曲にどんな思い出があるか、というのはほんのつまみだけで、本題は「好きなんだよ、仕方ないじゃあ」ということ。元の曲を知っていたら、もっと楽しいのだろうけど。でも、知らなくてもニック節が楽しめます。好きな人は。

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