2017年1月14日土曜日

【終わりの感覚】ジュリアン・バーンズ(土屋政雄訳・新潮社)

2011年度ブッカー賞受賞作。

【終わりの感覚】ジュリアン・バーンズ(土屋政雄訳・新潮社)

引退生活を送っているトニーの元に届いたのは、記憶の彼方にある未亡人からの遺言と遺産。彼女は、学生時代の恋人ベロニカの母親だった。さらに彼に送るとされたのは、高校時代の友人エイドリアンの日記だった。ベロニカはトニーと別れたあと、エイドリアンの恋人となっていた。その日記が、なぜベロニカの母親から送られることになったのか。トニーは日記を持っているベロニカに会いに行くが。

淡々と物語が進む、とみせかけて、いろんな仕掛けが実はあり(何も書けませんな、そうなると)、ラストはちょっと衝撃的。
謎解きの要素もたっぷり。
そして、人間の記憶とは曖昧なもので、自分にとって好ましいものしか覚えていないのだ、すなわち、都合の悪いことは簡単に忘れてしまうものなのだ(それがたとえ相手をどんなに傷つけるものであったとしても)ということを思い知らされる。

土屋政雄の翻訳は、ここでも冴え渡ってます。と思います。原文読んでないからわからんけど。日本語としてとてもすすすっと入ってくる。うまいなあ。

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