2014年1月14日火曜日

【楽園への道】バルガス=リョサ(田村さと子訳・河出書房新社)

19世紀の女性労働活動家フローラ・トリスタンとその孫の画家ポール・ゴーギャン。ふたりの半生を交互に描きながら、時代と戦う反逆精神をいきいきと描いた作品。
にしても。
楽園への道のりは遠かったです。長かったし。
一人称でも三人称でもなく、二人称で話が進むのですね。作者というか著者というか、が、登場人物である主人公に語りかけてくるような。すると作中の人物がとても身近に感じてしまうのですね。作品が一層身近になる。面白い書き方です。(古川日出男の「ベルガ、吠えないのか」と似てます)
そして何よりも、作品自体の推進力というか文章自体の迫力というか、その力強さに圧倒されます。別に変わった表現も変わった文体も(二人称のところ以外は)あるわけでもないんですけど。
さて、ポール・ゴーギャンといえば「月と六ペンス」ですね。モームの名作は芸術に生きる人間の不条理さを描いていましたが、こちらはもっと生々しく、そしてややリアルなゴーギャン像となっています。ゴッホとのいきさつなども描いていますしね。おかげでとても沢山な分量になってますが。
まあ読み応えは十分でしょう。時代の反逆児、という視点は好きな題材なので、長い道のりでしたがなんとか最後までたどり着きました。

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