2014年1月25日土曜日

【刺青の男】レイ・ブラッドベリ(小笠原豊樹訳・ハヤカワ文庫)

ブラッドベリの、かなり古い作品です。映画にもなりましたね。
語り手がある夜、一緒に野宿することになった見知らぬ男。その男は体中に刺青がありました。男の言うことには、夜になるとその一つ一つが息を吹き返し、それぞれの物語を始めるのだとか。その夜、語り手は様々な物語を体験することになり。。。

ブラッドベリにはお馴染みのオムニバスものですね。18話からなる短篇集で、それが「刺青の男」の刺青から立ち上がる物語である、という設定。タイトルのおどろおどろしさとは関係なく、中身はSF物が多いです。他の短篇集に入っているものもあるし。
それぞれの物語は、いろんなバージョンがあって、短篇集として面白いです。これをわざわざ「刺青の男」としてまとめなくても、とは思いますね。逆に全体を通して読まないといけないのかなあと思ってしまったり。そうすると読み方まで変わってくるというか、作者の意向に沿った読み方をしないといけないのかなと思ってしまうのですね。まあそう固くならずに、一つ一つの物語を愉しめばいいのですけれど。
それぞれの物語は、ほんとうに面白いです。SFをファンタジーやミステリーだけでなく、ペーソスも含めた人間ドラマとしても高めたブラッドベリの真骨頂のような作品が並んでいますからね。あ、SFじゃないドラマもありますよ。

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