2017年4月6日木曜日

【最後の秘境 東京藝大-天才たちのカオスな日常】二宮敦人(新潮社)

有名だけど内実はよくわからない、という場所はいろいろある。大学などはその一つ。それも日本でも頂点にたつ「芸術系の」大学ならなおさら興味が湧く。

夫人が現役の藝大生ということから、その内実に迫る。というよりも、そこで学ぶ(?がつく)学生たちの実態に迫る、というドキュメント。

といっても、裏側を暴く、と言ったていではなく、本当にそこで学んでいる学び方などをそのまま切り取っているのだが。
その「日常」そのものがすでにおかしい。

美大と音大の差。それぞれの学生のこだわり。
信じられないような競争率を経て入学した学生たち。
変人でないわけがない。
もちろん、教授陣も「ここでしか仕事がなさそうな」人たちばかりのようだし。

金属造形の学部では「命の危険がある」機械が普通に動いている。
音楽系では打楽器の話がやっぱり面白かったかな。なんでもやらないといけないから。
藝祭(学園祭?)では、学長が絶叫し、意味不明なパフォーマンスが学部の垣根を超えて繰り広げられる。

芸術の最高学府なのだから、まあこんな人もいるだろうなあ、まあそんなこともあるだろうなという話もあるけれど、やっぱり普通じゃないかも。

ただ、最終章では、お互いの学科を認め合い、尊敬しあっている部分も見えて、変なところ、ということだけで終わるのではないものを感じさせてくれる。
芸術って面白いなあ。いいなあ。と思うよ。

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