2015年7月17日金曜日

【火花】又吉直樹(文學界2015年2月号)

ついに芥川賞をとっちゃいましたね。
実は昨日、ようやく読み終わったところでした。
正直、取れるかどうか微妙かな、と思っていました。

文章能力は高いし、ユーモアのセンスも秀逸(シュールとも言えるか)。
ただし、「常識はずれの先輩を語るわたし」という設定は、ややありきたり。
そこら辺が、どう評価されるのかなと思いました。

いや、わたくしの読みが甘かったというか、浅かったというか。
ありきたりな題材で、思いもよらない物語を作った力量が評価されたようですね。

最初の数行は、ちょっと小説オタク的な始まり方です。
ここでくじける人がいるかもしれませんが、読み進めていくうちに又吉ワールド全開となっていきます。

ただし。お笑いだからといっておちゃらけたところは微塵もありません。
実の真面目に、誠実に、文章を綴っています。
そのアンバランスさが、とてもいい小説です。
ぜひとも、皆さん読んでください。

さて、今日の受賞会見をYouTubeで見ました。
前回の芥川賞・直木賞(西加奈子)の会見と、ずいぶん様子が違っていました。
多分、こういう「文学」とはおよそ関係のなさそうな、ワイドショーのレポーターらしき人たちが、だらだらとした質問を続けていて、作品に込められた思いや創作の裏側といった、文学オタク的な聞き方はあまりされなかったのが残念です。そういうレポーターは、又吉氏を「芸人」としてしか見ていないのだな、と思いました。

会見の中で最も印象的だったのは、「作品を書いたきっかけは?」という質問に、
「西加奈子さんの「サラバ!」を読んで、勇気をもらいました」
と言った場面。
そうです。素晴らしい作品はそれに続く作家を育て、勇気づけ、新しい作品を生み出す力を与え、そうやってさらに新しい作品が生まれでていくのですね。
これからも又吉氏に続く作家が生まれて、新しい作品が生まれていくのでしょう。

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