これが本当に今年最後のアップになるでしょう。
ポール・ラファージという作家はよく知りません。訳者あとがきを読むと、柴田元幸さんもよくわからないようですが。しかし作品はとても面白いです。
どこかわからない都市。アパートの一室でスケッチをするフランク。向かいのアパートの窓に見える女性が忘れられなくなります。やがて町で偶然その女性に出会います。彼女プルーデンスは、事故現場を専門に撮影する写真家でした。
彼女と付き合ううち、スケッチの内容は死体の表情になっていくフランク。しかしある日、プルーデンスは姿を消してしまいます。
そんなフランクは、近親者が失踪した「サロン」に誘われます。やがてサロンに集まる人たちから、失踪した人たちの似顔絵を書くように頼まれるようになります。それがフランクの運命を変えてしまいます。
社会派SFのようでもあるし、寓話的でもあるのですが、現実と夢想との境目がとても曖昧で、結末も「結末」といえるのかどうか。
でも、こういう味わいは大好きです。
2014年12月31日水曜日
2014年12月30日火曜日
12月の読書
あっという間に12月も終わりそうです。ということは1年が終わりそうということですね。
慌ただしい気分はいつもと同じです。どうやら年齢を重ねると時の経つのは速く感じてしまうらしいです。
それはきっと、毎年同じことをする機会が多いせいでしょうし、経験を重ねると次に何が起こるかがある程度予想出来てしまうからといこともあるのでしょうね。
つまり、時を重ねることのわくわく感というか、期待感、あるいは不安感というものがなくなって、そうなるとやってくる時間、過ぎていく時間をより客観的に見てしまう、ということがあるような気がします。
もちろん、そうは思わない時もあるし、思った通りにいかない(実はこちらのほうが多いはずなんだけど)時もあります。そんな時は、時間がゆっくり過ぎていくんですね、きっと。でもそういう時間は、少なくなったなあ。
【人生は彼女の腹筋】駒沢敏器(小学館)
初めて読んだんですけど、実に面白いです。レイモンド・カーヴァーやポール・オースターの色が濃いなあと思います。と思ったら、翻訳もしてはるんですね。昨年不慮の死を遂げたそうですが、惜しいことをしたなあと思います。村上春樹を凌駕していると、個人的には思うので。
【真綿荘の住人たち】島本理生(文藝春秋)
今年は西加奈子イヤーでした。で、西さんが「サラバ!」を書くきっかけというか、10年目に長編を書きたいと思ったのが、島本理生さんが10年目に長編を書いて、それが素晴らしかったから、というのを理由の一つにあげていたので、ではどんな作家なのか(読んだことがなかった)読んでみたのです。
よくある「一つ屋根の下」ものなのですが、登場人物に作者の個性が出ますね。で、この個性はあまり見たことがないかも。ちょっと好きですね。
【愛の風見鳥】田辺聖子(集英社文庫)
【愛のレンタル】田辺聖子(文春文庫)
昔の「恋愛小説」ですけど、今読んでも結構面白いです。というか、ここの時点(60年代?)から、男女の関係ってあんまり変わっていないのかなあと、ちょっと寂しい気もしますね。
【イン・ザ・ヘブン】新井素子(新潮社)
久しぶりの新井素子さん。しかし相変わらずの破滅型というか終末型SF。「希望」や「勝利」や「勇気」なんていうありきたりの人生応援が流行りまくりの昨今では、むしろありがたい存在だと思います。同年代やし。
終末型、なんだけど「希望」もあるし、その中で生きていこうという「勇気」もありますよ。
【できないことはやりません】佐久間宣行(講談社)
テレビ東京のディレクター。人気番組の裏側、TV局の内情を語ってくれるのかとおもいきや、ただの自慢話でした。
【蛇行する月】桜木紫乃(双葉社)
芥川賞を受賞した「ホテルローヤル」よりも分かりやすい。そして共感しやすいです。
【ホーソーン短編小説集】ホーソーン(坂下昇編訳・岩波文庫)
「緋文字」の作者の短篇集。あまり面白みがなかったな。
【ボディ・ブレイン】下柳剛(水王舎)
【かかとを失くして/三人関係/文字移植】多和田葉子(講談社文芸文庫)
【傘の死体とわたしの妻】多和田葉子(思潮社)
【海に落とした名前】多和田葉子(新潮社)
【献灯使】多和田葉子(講談社)
【聖女伝説】多和田葉子(太田出版)
【溶ける街透ける街】多和田葉子(日本経済新聞出版社)
【飛魂】多和田葉子(講談社)
【ヒナギクのお茶の場合】多和田葉子(新潮社)
何度も言っていますが、次に日本人でノーベル文学賞を取るとしたら、間違いなく多和田葉子さんだと思っています(個人的な思い入れだけど)。
言葉の持つ不思議に真摯に向き合う姿勢。それはいつも変わりませんね。
初期の「かかとを失くして」よりも、最近の「溶ける街透ける街」や「献灯使」のほうが、個人的には好みです。特に最新刊の「献灯使」は、寓話的なSFタッチと社会性を一つにしたような作品で、安部公房を彷彿とさせますね。そういう道に進んでいくのかなあ。
【時計じかけのオレンジ】アントニイ・バージェス(乾信一郎訳・早川書房)
キューブリックの映画でも有名な(むしろそのおかげで有名になった?)作品です。近未来の「犯罪抑制」の恐ろしさを描いているのだけれど、どこか間が抜けているような印象もありますね。
この翻訳はとても良く出来ていて、スラングをカタカナのまま表記して、ルビで補っているんですね。妙に日本語っぽい言葉を当てはめなかったのは正解ですね。いい感じ。
【ピギー・スニードを救う話】ジョン・アーヴィング(小川高義訳・新潮文庫)
ジョン・アーヴィングの、珍しい短篇集。作者の作風のエッセンスのようなものを味わえます。というか、こういうのが長ーくなって、あの作品群ができているわけですね。
個人的には、こういう短編でもいいんじゃないの、と思ってしまいますが。
まとめて書くと、細かいところは覚えていないし、おかげでちゃんとした批評にもならないですね。いやはやなんとも情けない。
個人的な備忘録としても書いているので、批評にならなくてもいいのですが、どんな本を読んだかが後になったらわからないというのは、やはり困りものです。読んだかどうかさえわかっていないものもあるし。
というわけで、来年の目標は、できるだけ書き残す、ということにしましょう。
慌ただしい気分はいつもと同じです。どうやら年齢を重ねると時の経つのは速く感じてしまうらしいです。
それはきっと、毎年同じことをする機会が多いせいでしょうし、経験を重ねると次に何が起こるかがある程度予想出来てしまうからといこともあるのでしょうね。
つまり、時を重ねることのわくわく感というか、期待感、あるいは不安感というものがなくなって、そうなるとやってくる時間、過ぎていく時間をより客観的に見てしまう、ということがあるような気がします。
もちろん、そうは思わない時もあるし、思った通りにいかない(実はこちらのほうが多いはずなんだけど)時もあります。そんな時は、時間がゆっくり過ぎていくんですね、きっと。でもそういう時間は、少なくなったなあ。
【人生は彼女の腹筋】駒沢敏器(小学館)
初めて読んだんですけど、実に面白いです。レイモンド・カーヴァーやポール・オースターの色が濃いなあと思います。と思ったら、翻訳もしてはるんですね。昨年不慮の死を遂げたそうですが、惜しいことをしたなあと思います。村上春樹を凌駕していると、個人的には思うので。
【真綿荘の住人たち】島本理生(文藝春秋)
今年は西加奈子イヤーでした。で、西さんが「サラバ!」を書くきっかけというか、10年目に長編を書きたいと思ったのが、島本理生さんが10年目に長編を書いて、それが素晴らしかったから、というのを理由の一つにあげていたので、ではどんな作家なのか(読んだことがなかった)読んでみたのです。
よくある「一つ屋根の下」ものなのですが、登場人物に作者の個性が出ますね。で、この個性はあまり見たことがないかも。ちょっと好きですね。
【愛の風見鳥】田辺聖子(集英社文庫)
【愛のレンタル】田辺聖子(文春文庫)
昔の「恋愛小説」ですけど、今読んでも結構面白いです。というか、ここの時点(60年代?)から、男女の関係ってあんまり変わっていないのかなあと、ちょっと寂しい気もしますね。
【イン・ザ・ヘブン】新井素子(新潮社)
久しぶりの新井素子さん。しかし相変わらずの破滅型というか終末型SF。「希望」や「勝利」や「勇気」なんていうありきたりの人生応援が流行りまくりの昨今では、むしろありがたい存在だと思います。同年代やし。
終末型、なんだけど「希望」もあるし、その中で生きていこうという「勇気」もありますよ。
【できないことはやりません】佐久間宣行(講談社)
テレビ東京のディレクター。人気番組の裏側、TV局の内情を語ってくれるのかとおもいきや、ただの自慢話でした。
【蛇行する月】桜木紫乃(双葉社)
芥川賞を受賞した「ホテルローヤル」よりも分かりやすい。そして共感しやすいです。
【ホーソーン短編小説集】ホーソーン(坂下昇編訳・岩波文庫)
「緋文字」の作者の短篇集。あまり面白みがなかったな。
【ボディ・ブレイン】下柳剛(水王舎)
ちょっとありきたりの精神修養論ぽくて、残念かなあ。いろいろためにはなったけど。
【傘の死体とわたしの妻】多和田葉子(思潮社)
【海に落とした名前】多和田葉子(新潮社)
【献灯使】多和田葉子(講談社)
【聖女伝説】多和田葉子(太田出版)
【溶ける街透ける街】多和田葉子(日本経済新聞出版社)
【飛魂】多和田葉子(講談社)
【ヒナギクのお茶の場合】多和田葉子(新潮社)
何度も言っていますが、次に日本人でノーベル文学賞を取るとしたら、間違いなく多和田葉子さんだと思っています(個人的な思い入れだけど)。
言葉の持つ不思議に真摯に向き合う姿勢。それはいつも変わりませんね。
初期の「かかとを失くして」よりも、最近の「溶ける街透ける街」や「献灯使」のほうが、個人的には好みです。特に最新刊の「献灯使」は、寓話的なSFタッチと社会性を一つにしたような作品で、安部公房を彷彿とさせますね。そういう道に進んでいくのかなあ。
【時計じかけのオレンジ】アントニイ・バージェス(乾信一郎訳・早川書房)
キューブリックの映画でも有名な(むしろそのおかげで有名になった?)作品です。近未来の「犯罪抑制」の恐ろしさを描いているのだけれど、どこか間が抜けているような印象もありますね。
この翻訳はとても良く出来ていて、スラングをカタカナのまま表記して、ルビで補っているんですね。妙に日本語っぽい言葉を当てはめなかったのは正解ですね。いい感じ。
【ピギー・スニードを救う話】ジョン・アーヴィング(小川高義訳・新潮文庫)
ジョン・アーヴィングの、珍しい短篇集。作者の作風のエッセンスのようなものを味わえます。というか、こういうのが長ーくなって、あの作品群ができているわけですね。
個人的には、こういう短編でもいいんじゃないの、と思ってしまいますが。
まとめて書くと、細かいところは覚えていないし、おかげでちゃんとした批評にもならないですね。いやはやなんとも情けない。
個人的な備忘録としても書いているので、批評にならなくてもいいのですが、どんな本を読んだかが後になったらわからないというのは、やはり困りものです。読んだかどうかさえわかっていないものもあるし。
というわけで、来年の目標は、できるだけ書き残す、ということにしましょう。
2014年12月8日月曜日
11月の読書
師走、になりました。
あっという間に一年も過ぎ去ろうとしています。
のんびりと見過ごす、ということは、年の終わりでもできそうにないのが悲しいですね。
今自分が生きているこの世界が、本当に確かなものなのかどうか、問いかけながら日々を過ごしているような気がします。
そんなことを考え続けるのは、柴崎友香を続けて読んだからかもしれません。
どれも「確かに、今は、今?」という問いかけの中から生まれている作品に思えます。よくある恋愛モノですら。
【春の庭】柴崎友香(文藝春秋)
【また会う日まで】柴崎友香(河出書房新社)
【ビリジアン】柴崎友香(毎日新聞社)
【寝ても覚めても】柴崎友香(河出書房新社)
【人間小唄】町田康(講談社文庫)
うむむ。忘れた(^_^;)
【ヤバい経済学】S・D・レヴィット、S・J・タブナー(望月衛訳・東洋経済新報社)
確かにやばい。そして、経済学の分析と思わせて(たしかにそうなのだろうけれど)数値的な裏付けは、本当にそうか? と思います。ただ、「視点を変えてものごとを見る」というのは大事、そして面白いということは分かる。
【この話、続けてもいいですか。】西加奈子(ちくま文庫)
【ごはんぐるり】西加奈子(NHK出版)
【西加奈子と地元の本屋】大阪の本屋発行委員会/編
買ったはいいけど、まだ読んでないんです。「サラバ!」。エッセイは、まあまあ。まあ飲み話が多いから、ということもあるんだけど。素顔が見れて面白い、楽しい、というのはありますね。
そのほか(1冊ずつ考えるのが面倒になってきたorz)
【暮らしを旅する】中村好文(KKベストセラーズ)
【ああカモカのおっちゃん】田辺聖子(文春文庫)
【本覚坊遺文】井上靖(講談社)
【大きな熊が来る前に、おやすみ。】島本理生(新潮社)
【M/Tと森のフシギの物語】大江健三郎(岩波文庫)
あっという間に一年も過ぎ去ろうとしています。
のんびりと見過ごす、ということは、年の終わりでもできそうにないのが悲しいですね。
今自分が生きているこの世界が、本当に確かなものなのかどうか、問いかけながら日々を過ごしているような気がします。
そんなことを考え続けるのは、柴崎友香を続けて読んだからかもしれません。
どれも「確かに、今は、今?」という問いかけの中から生まれている作品に思えます。よくある恋愛モノですら。
【春の庭】柴崎友香(文藝春秋)
【また会う日まで】柴崎友香(河出書房新社)
【ビリジアン】柴崎友香(毎日新聞社)
【寝ても覚めても】柴崎友香(河出書房新社)
【ドリーマーズ】柴崎友香(講談社)
【きょうのできごと】柴崎友香(河出文庫)
【週末カミング】柴崎友香(角川書店)
【きょうのできごと、十年後】柴崎友香(河出書房新社)
うむむ。忘れた(^_^;)
【ヤバい経済学】S・D・レヴィット、S・J・タブナー(望月衛訳・東洋経済新報社)
確かにやばい。そして、経済学の分析と思わせて(たしかにそうなのだろうけれど)数値的な裏付けは、本当にそうか? と思います。ただ、「視点を変えてものごとを見る」というのは大事、そして面白いということは分かる。
【この話、続けてもいいですか。】西加奈子(ちくま文庫)
【ごはんぐるり】西加奈子(NHK出版)
【西加奈子と地元の本屋】大阪の本屋発行委員会/編
買ったはいいけど、まだ読んでないんです。「サラバ!」。エッセイは、まあまあ。まあ飲み話が多いから、ということもあるんだけど。素顔が見れて面白い、楽しい、というのはありますね。
そのほか(1冊ずつ考えるのが面倒になってきたorz)
【暮らしを旅する】中村好文(KKベストセラーズ)
【ああカモカのおっちゃん】田辺聖子(文春文庫)
【本覚坊遺文】井上靖(講談社)
【大きな熊が来る前に、おやすみ。】島本理生(新潮社)
【M/Tと森のフシギの物語】大江健三郎(岩波文庫)
2014年11月23日日曜日
【アマデウス-ディレクターズカット】1984・2002年アメリカ映画
また、地震ですね。このところ、地震に火山の噴火にと、さらには台風や大雨、ゲリラ豪雨とか、天変地異とまではいかないまでも、おかしな現象が立て続けに起こっているように感じます。
「地球が怒っている」とか「神の怒りが」とかいう人も居てそうですが、信心深くないクリスチャンであるわたくしは、そういう人間に対する警告、というようなことはあまり信じませんね。なにか科学的な根拠があるに違いない、と考える方です。それが何か、は神のみぞ知る。って、あれ?
「アマデウス」を、初めて見ました。実はもうすぐモーツァルトのレクイエムを歌うんです。もちろん合唱団の一員として、ですけどね。グッドタイミングだったなと思いますね。
とはいえ、多くの事柄はフィクションでしょうけど。まあ、映画というものはそういうもの。そういうところは差し引いてい考えて楽しむのがいいんじゃないでしょうか。そういう寛容なところがなければ。ドキュメンタリーじゃないんだし。
実話かどうかということよりも、この映画のテーマである「神の御心はどこにあるのか?」(勝手に考えました)というものがとても明確に出ていましたね。まあ「神」を出さなくても、人生の皮肉、不条理といったもの。それに振り回される人生。そのテーマは普遍的なものでしょう。
音楽を愛し、神に祈るサリエリに、神様は才能を与えず、下品で不遜なモーツァルトを愛された(らしい)。モーツァルトの作り出す音楽に感動を覚えつつ、嫉妬もし、そして神を呪うサリエリ。
まあ人生とはうまくいかないものです。何事につけても。
それがこの映画には散りばめられていましたね。
神様の不公平さを呪い続けるサリエリもそうだし、そのサリエリに悔悟を求めようとして逆に打ちのめされる若い神父もそう。
思い通りにはいかないことだらけの人生を送るしかない人々。
人間誰しも、そうやって生きていくしかないのかもしれません。
公開当時はすごく話題になっていましたが、見逃していました。でも今になってから、つまりモーツァルトの音楽をいっぱい知ってから見て、良かったと思います。かつては知らなかった曲がいっぱい散りばめられているのですから。
「地球が怒っている」とか「神の怒りが」とかいう人も居てそうですが、信心深くないクリスチャンであるわたくしは、そういう人間に対する警告、というようなことはあまり信じませんね。なにか科学的な根拠があるに違いない、と考える方です。それが何か、は神のみぞ知る。って、あれ?
「アマデウス」を、初めて見ました。実はもうすぐモーツァルトのレクイエムを歌うんです。もちろん合唱団の一員として、ですけどね。グッドタイミングだったなと思いますね。
とはいえ、多くの事柄はフィクションでしょうけど。まあ、映画というものはそういうもの。そういうところは差し引いてい考えて楽しむのがいいんじゃないでしょうか。そういう寛容なところがなければ。ドキュメンタリーじゃないんだし。
実話かどうかということよりも、この映画のテーマである「神の御心はどこにあるのか?」(勝手に考えました)というものがとても明確に出ていましたね。まあ「神」を出さなくても、人生の皮肉、不条理といったもの。それに振り回される人生。そのテーマは普遍的なものでしょう。
音楽を愛し、神に祈るサリエリに、神様は才能を与えず、下品で不遜なモーツァルトを愛された(らしい)。モーツァルトの作り出す音楽に感動を覚えつつ、嫉妬もし、そして神を呪うサリエリ。
まあ人生とはうまくいかないものです。何事につけても。
それがこの映画には散りばめられていましたね。
神様の不公平さを呪い続けるサリエリもそうだし、そのサリエリに悔悟を求めようとして逆に打ちのめされる若い神父もそう。
思い通りにはいかないことだらけの人生を送るしかない人々。
人間誰しも、そうやって生きていくしかないのかもしれません。
公開当時はすごく話題になっていましたが、見逃していました。でも今になってから、つまりモーツァルトの音楽をいっぱい知ってから見て、良かったと思います。かつては知らなかった曲がいっぱい散りばめられているのですから。
2014年11月22日土曜日
【オリバー!】1968年・イギリス映画
リパッティの弾くショパンを聴きながら書いています。
音楽を愛する人は多いけれど(自分もその一人だと思っています)、音楽に愛される人というのはそんなにいないような気がします。
リパッティは、音楽に愛された、というよりもピアノに愛されていたような気がします。古い録音しか残っていないのに、ピアノの音がほんとうにきれいに澄んでいるように聞こえますね。
「オリバー!」を見ました。ディケンズ原作のミュージカル映画。
何年か前に、ポランスキーが監督した「オリバー・ツイスト」を見ましたが、そちらは原作に忠実なようで、とても人間臭く、暗い人間模様が息苦しいくらいでした。
ミュージカルになると一味も二味も違っていて、なにしろ貧しい人たちの活き活きとしていることが救いです。そのほとんどが泥棒だったりするのですが。
そしてミュージカル映画といえば、歌と踊りですね。
特にこの作品では、大勢の人たちが次々に踊りの輪に加わっていく群舞がすばらしい。
一つの通りを、ひとつの広場全体を舞台として踊り広がっていくさまは圧巻です。これぞ映画。
そして根っからの悪人は悲壮な最期を遂げ、根は優しい悪人は優しい悪人のままで、善人は恵まれるというハッピーエンド。マーク・レスターのあどけなさ。ジャック・ワイルドのかっこよさ。フェイギン役のロン・ムーディーは、特に絶品でした。
世の中、悪いことばかりじゃない、と信じたくなるような。そうもいかないみたいなんですけど。現実は。やれやれ。
音楽を愛する人は多いけれど(自分もその一人だと思っています)、音楽に愛される人というのはそんなにいないような気がします。
リパッティは、音楽に愛された、というよりもピアノに愛されていたような気がします。古い録音しか残っていないのに、ピアノの音がほんとうにきれいに澄んでいるように聞こえますね。
「オリバー!」を見ました。ディケンズ原作のミュージカル映画。
何年か前に、ポランスキーが監督した「オリバー・ツイスト」を見ましたが、そちらは原作に忠実なようで、とても人間臭く、暗い人間模様が息苦しいくらいでした。
ミュージカルになると一味も二味も違っていて、なにしろ貧しい人たちの活き活きとしていることが救いです。そのほとんどが泥棒だったりするのですが。
そしてミュージカル映画といえば、歌と踊りですね。
特にこの作品では、大勢の人たちが次々に踊りの輪に加わっていく群舞がすばらしい。
一つの通りを、ひとつの広場全体を舞台として踊り広がっていくさまは圧巻です。これぞ映画。
そして根っからの悪人は悲壮な最期を遂げ、根は優しい悪人は優しい悪人のままで、善人は恵まれるというハッピーエンド。マーク・レスターのあどけなさ。ジャック・ワイルドのかっこよさ。フェイギン役のロン・ムーディーは、特に絶品でした。
世の中、悪いことばかりじゃない、と信じたくなるような。そうもいかないみたいなんですけど。現実は。やれやれ。
2014年11月21日金曜日
【天井桟敷の人々】1945年・フランス映画
録りためていた映画の消化。
フランス映画史上、最高傑作の呼び声高い作品です。
3時間を超す大作ですね。でも飽きることなく見れました。とても面白かった。
よく言われるように、脚本が、というか、セリフが素晴らしい。
有名な「愛する者同士には、パリは狭すぎる」を筆頭に、もう全てのセリフを書き留めておきたいと思うくらい、めくるめくような言葉の奔流。しかもそれがわざとらしくないところがすごい。
さらにそれに対抗するかのようなバチスト(ジャン=ルイ・バロー)のマイム演技。劇中劇での表現力の高さには圧倒されます。
友人でありライバルでもあるフレデリックが、バチストの舞台を見て役者としての情熱を再燃させるシーンは、それぞれが実際に素晴らしい演技ができてこその説得力、でしょう。それができる俳優としての技量の高さ。
そしてヒロインのガランス(アルレッティ)。最初はどうってことない町の女風で、しかし言うことがとても粋で、その魅力に引き込まれるという設定が、映画が進むに連れて納得させられてしまいます。
ラストシーンは、なんなんだろうと考えさせられてしまいます。落ち着くべきところに落ち着くわけではないというところが、フランス好みなのでしょうか。
「これから先のことは、さあ皆さんでどうぞご想像ください」というところなのかも。
ともかくも、今やこういう「粋なセリフ回し」で見せる映画というものはなくなってしまったような気がします。その意味では、貴重な作品なのでしょう。
フランス映画史上、最高傑作の呼び声高い作品です。
3時間を超す大作ですね。でも飽きることなく見れました。とても面白かった。
よく言われるように、脚本が、というか、セリフが素晴らしい。
有名な「愛する者同士には、パリは狭すぎる」を筆頭に、もう全てのセリフを書き留めておきたいと思うくらい、めくるめくような言葉の奔流。しかもそれがわざとらしくないところがすごい。
さらにそれに対抗するかのようなバチスト(ジャン=ルイ・バロー)のマイム演技。劇中劇での表現力の高さには圧倒されます。
友人でありライバルでもあるフレデリックが、バチストの舞台を見て役者としての情熱を再燃させるシーンは、それぞれが実際に素晴らしい演技ができてこその説得力、でしょう。それができる俳優としての技量の高さ。
そしてヒロインのガランス(アルレッティ)。最初はどうってことない町の女風で、しかし言うことがとても粋で、その魅力に引き込まれるという設定が、映画が進むに連れて納得させられてしまいます。
ラストシーンは、なんなんだろうと考えさせられてしまいます。落ち着くべきところに落ち着くわけではないというところが、フランス好みなのでしょうか。
「これから先のことは、さあ皆さんでどうぞご想像ください」というところなのかも。
ともかくも、今やこういう「粋なセリフ回し」で見せる映画というものはなくなってしまったような気がします。その意味では、貴重な作品なのでしょう。
2014年11月20日木曜日
【トゥモロー・ワールド】2006年・イギリス映画
メジャーリーガーとの日米野球も終わり、週末のフィギュア以外は(それも録画で見るに限る。何しろくだらないVTRが多すぎる)時間ができて、録りためていた映画を消化する日々。
「トゥモロー・ワールド」はイギリス映画、らしい。知っている俳優はジュリアン・ムーア、ぐらいかなと思ったけれど、ヒッピー老人がマイケル・ケインだったというのをあとで知って驚いた。全くわからなかったなあ。
未来のイギリス。人類の生殖機能が失われて久しく、世界にはテロが横行。ロンドンだけが治安を(強制的に)維持していて、世界中から不正入国が相次ぎ、それをさらに強制的に取り締まる政府と、それに抵抗する過激派集団。そのリーダーであるジュリアンの元夫であったセオは、ジュリアンに頼まれて少女キーの逃亡を手助けすることになる。なんとキーは妊娠していたのだった。
というわけで、前半は比較的静かに、ちょっとイギリス流のユーモアやペーソスもあったりするのだが(クリムゾン・キングの宮殿が流れたり、ピンク・フロイドの「豚」が発電所の上に浮かんでたり)、後半はやたらに人が撃たれるは、戦闘シーンが(リアルに)あるはで、何じゃこの映画は! と思ったのであります。ジュリアン・ムーアは早々に死んでしまうし。
終盤の戦闘シーンは、ドキュメントを見ているような迫力で迫ってきますが、だったらそういう映画として全編を通せばよいものを、と思ってしまいます。この映画を作った人は、どういうコンセプトで撮り始めたのだろうか。よくわからないけれど、持てるもの、表現したいものを全て注ぎ込んで、結果、中心となるテーマがあやふやになったかも。
最後に「トゥモロー号」が出てくるから「トゥモロー・ワールド」なのかな。原題は「Children of Men(人類の子供たち)」というらしい。子供は出てこないのだから、この題名は??? というところから考え始めるのもいいかもしれません。って、何も浮かばないのだけれど。
「トゥモロー・ワールド」はイギリス映画、らしい。知っている俳優はジュリアン・ムーア、ぐらいかなと思ったけれど、ヒッピー老人がマイケル・ケインだったというのをあとで知って驚いた。全くわからなかったなあ。
未来のイギリス。人類の生殖機能が失われて久しく、世界にはテロが横行。ロンドンだけが治安を(強制的に)維持していて、世界中から不正入国が相次ぎ、それをさらに強制的に取り締まる政府と、それに抵抗する過激派集団。そのリーダーであるジュリアンの元夫であったセオは、ジュリアンに頼まれて少女キーの逃亡を手助けすることになる。なんとキーは妊娠していたのだった。
というわけで、前半は比較的静かに、ちょっとイギリス流のユーモアやペーソスもあったりするのだが(クリムゾン・キングの宮殿が流れたり、ピンク・フロイドの「豚」が発電所の上に浮かんでたり)、後半はやたらに人が撃たれるは、戦闘シーンが(リアルに)あるはで、何じゃこの映画は! と思ったのであります。ジュリアン・ムーアは早々に死んでしまうし。
終盤の戦闘シーンは、ドキュメントを見ているような迫力で迫ってきますが、だったらそういう映画として全編を通せばよいものを、と思ってしまいます。この映画を作った人は、どういうコンセプトで撮り始めたのだろうか。よくわからないけれど、持てるもの、表現したいものを全て注ぎ込んで、結果、中心となるテーマがあやふやになったかも。
最後に「トゥモロー号」が出てくるから「トゥモロー・ワールド」なのかな。原題は「Children of Men(人類の子供たち)」というらしい。子供は出てこないのだから、この題名は??? というところから考え始めるのもいいかもしれません。って、何も浮かばないのだけれど。
2014年11月11日火曜日
直前練習
羽生選手の強行出場(と言っていいでしょう)には、賛否両論あるようですね。
確かに、これからのことを考えると、というか、あの状況で出場するのは、無謀であったでしょう。
それでも滑ってしまったからねえ。
そして、高得点を出してしまった。
まるで漫画。出来の悪いスポ根ドラマのシナリオのようです。
で、朝から何度も、衝突シーンを放映するテレビの節操の無さにも、少々腹が立ちますね。
実際の映像をそんなに流してどうなる? と思います。
で、まあ結果はよかったわけですが。
しばらくは休養でしょう。
しっかり休んでほしいです。
年末の、全日本ぐらいを目標にしてくれたら、それでいい。
日本のスポーツ業界(そんなのがあるのか)は、どうやら冬のスポーツは羽生だのみのところがあるようですが、ちょっと改めてもいいのでは、と思いますね。
かつての浅田真央だのみよりも、さらにエスカレートしそうで、傍で見ているとあまりいい気分ではないですね。
ぶたこが昨日つぶやいて(ツイッターじゃなく)いたし、今朝フィギュア解説の佐野稔さんも言っていたけれど、直前練習を6人で行うのは、もう無理があるような気がしますね。
特に男子は。
男子のスケートは、今や4回転は必須。
4回転を跳ぼうと思ったら、今までより以上のスピードで滑らなければいけません。
だいたい時速30キロぐらいですと。
「昔はそんなに速く滑ることはなかった」というのが佐野さんの話。
「僕の現役時代の、さらにもっと前から直前練習は6人で、となっていた。これはもう今の時代では危険すぎるのではないでしょうか」
「今シーズンから、名前を呼ばれてから演技を始めるまでの時間が、昨シーズンの1分間から30秒になった。その分時間は取れるはずです。6人じゃなくて、4人ずつにするとか。選手の安全のために、その時間を使ったらいいんじゃないかと思います」
どうも最近のフィギュアのルール変更などは、競技の面白さを増すことに気をかけていて、選手の安全などは「今のままで十分やん」と思っているようなところは、確かにあるように思いますね。
今の時代、それではダメ。
選手が安全に、安心して競技に集中できるように、見ている方も安心して選手を応援できるように、工夫すべきところはたくさんあると思います。
確かに、これからのことを考えると、というか、あの状況で出場するのは、無謀であったでしょう。
それでも滑ってしまったからねえ。
そして、高得点を出してしまった。
まるで漫画。出来の悪いスポ根ドラマのシナリオのようです。
で、朝から何度も、衝突シーンを放映するテレビの節操の無さにも、少々腹が立ちますね。
実際の映像をそんなに流してどうなる? と思います。
で、まあ結果はよかったわけですが。
しばらくは休養でしょう。
しっかり休んでほしいです。
年末の、全日本ぐらいを目標にしてくれたら、それでいい。
日本のスポーツ業界(そんなのがあるのか)は、どうやら冬のスポーツは羽生だのみのところがあるようですが、ちょっと改めてもいいのでは、と思いますね。
かつての浅田真央だのみよりも、さらにエスカレートしそうで、傍で見ているとあまりいい気分ではないですね。
ぶたこが昨日つぶやいて(ツイッターじゃなく)いたし、今朝フィギュア解説の佐野稔さんも言っていたけれど、直前練習を6人で行うのは、もう無理があるような気がしますね。
特に男子は。
男子のスケートは、今や4回転は必須。
4回転を跳ぼうと思ったら、今までより以上のスピードで滑らなければいけません。
だいたい時速30キロぐらいですと。
「昔はそんなに速く滑ることはなかった」というのが佐野さんの話。
「僕の現役時代の、さらにもっと前から直前練習は6人で、となっていた。これはもう今の時代では危険すぎるのではないでしょうか」
「今シーズンから、名前を呼ばれてから演技を始めるまでの時間が、昨シーズンの1分間から30秒になった。その分時間は取れるはずです。6人じゃなくて、4人ずつにするとか。選手の安全のために、その時間を使ったらいいんじゃないかと思います」
どうも最近のフィギュアのルール変更などは、競技の面白さを増すことに気をかけていて、選手の安全などは「今のままで十分やん」と思っているようなところは、確かにあるように思いますね。
今の時代、それではダメ。
選手が安全に、安心して競技に集中できるように、見ている方も安心して選手を応援できるように、工夫すべきところはたくさんあると思います。
2014年11月9日日曜日
フィギュアスケート GPシリーズ(前半)
フィギュアスケートの季節です。グランプリシリーズも、早くも6大会のうちの3つが終了しました。
浅田真央の休養、高橋大輔、鈴木明子の引退宣言などで、やや盛り上がりにかけるかと思われた今シーズン。
グランプリシリーズでも、見どころは少ないかな、まあ純粋に競技を楽しもう、などと思っていましたが。
いやあ、初戦のカナダ大会から泣かされっぱなしです。
それも男子のスケートに。
ただ、カナダ大会、アメリカ大会では感動の涙でしたが、今回はちょっと違っていました。
日本人選手の中では、金メダルに一番近い、というより、世界中で一番「金」に近い羽生結弦が出場した、中国大会。
男子の試合を生中継していたのは、時差が少ないからという以上に、羽生人気があると思いますけれど。
だから、その瞬間を見てしまいました。
そして叫んでしまいました。
おそらく、多くのフィギュアスケートファンと一緒に。
試合前の本番前の、6分間練習での、ハン・ヤン選手と羽生選手の衝突。
ふたりともこれからジャンプをしようとしている、一番スピードに乗った状態での衝突でしたから、衝撃もすごかったでしょう。
ふたりともしばらくは起き上がれなかったみたいだったし。
いままでも、何回か同じようなシーンは見たことがありますね。
ちょっとぶつかったぐらいだったら、「スマンスマン」ですみますけど。
今回のようにトップスピードでぶつかったら、少なくともどちらかの選手は棄権ですね。
今回も、ハン・ヤン選手は棄権する、という発表だったんですが。
いざ本番、となると出てきましたね。
びっくりしました。
地元開催、ということもあっただろうし、どんな成績でも、一応点数が残れば「成績」として残るわけだし。
などということを考えたのかどうか、分かりませんが。
テレビ解説の佐野稔さんも言っていましたが、こうなると「とにかく無事で滑り終わってくれ」ということしか考えられません。
応援するもなにもあったもんじゃないですね。
6分間練習もせずにいきなり滑って、それでもいくつかのジャンプは成功させていたし、頭がふらふらしていただろうに、スピンもしていたし。
なんというか、想像を絶するファイトでした。
そして羽生選手も、頭に包帯、顎には止血という状態で、4回転ジャンプに挑んでいました。
こちらはいちおう6分間練習はしていたけれど。
衝突の影響は大きかったはず。
それでも予定していたジャンプの要素は(後半の4回転トウは回避したものの)すべて跳ぼうとしていたし(5回転倒)。
ふたりとも、とにかく無事に最後まで滑りましたね。
どちらの演技中にも、途中から「もうええよ、もうええよ」という言葉しか出てこなくなっていました。
そして、点数。
びっくりしましたね。
ハン・ヤンは、思っていたような点数だったけど、羽生選手は一人を残しての1位得点。
なんかもう、よおわかりません。
羽生選手、涙涙。
それを見て、テレビの前のおじさん(わたくし)も涙涙。
ふたりのアスリート魂(そんな言葉はあまり好きじゃないですけど)を見ましたね。
脱帽です。
次の大会まで、ふたりとも少しは間があるので、しっかり体を治して、「本来の演技」を見せてほしいですね。
浅田真央の休養、高橋大輔、鈴木明子の引退宣言などで、やや盛り上がりにかけるかと思われた今シーズン。
グランプリシリーズでも、見どころは少ないかな、まあ純粋に競技を楽しもう、などと思っていましたが。
いやあ、初戦のカナダ大会から泣かされっぱなしです。
それも男子のスケートに。
ただ、カナダ大会、アメリカ大会では感動の涙でしたが、今回はちょっと違っていました。
日本人選手の中では、金メダルに一番近い、というより、世界中で一番「金」に近い羽生結弦が出場した、中国大会。
男子の試合を生中継していたのは、時差が少ないからという以上に、羽生人気があると思いますけれど。
だから、その瞬間を見てしまいました。
そして叫んでしまいました。
おそらく、多くのフィギュアスケートファンと一緒に。
試合前の本番前の、6分間練習での、ハン・ヤン選手と羽生選手の衝突。
ふたりともこれからジャンプをしようとしている、一番スピードに乗った状態での衝突でしたから、衝撃もすごかったでしょう。
ふたりともしばらくは起き上がれなかったみたいだったし。
いままでも、何回か同じようなシーンは見たことがありますね。
ちょっとぶつかったぐらいだったら、「スマンスマン」ですみますけど。
今回のようにトップスピードでぶつかったら、少なくともどちらかの選手は棄権ですね。
今回も、ハン・ヤン選手は棄権する、という発表だったんですが。
いざ本番、となると出てきましたね。
びっくりしました。
地元開催、ということもあっただろうし、どんな成績でも、一応点数が残れば「成績」として残るわけだし。
などということを考えたのかどうか、分かりませんが。
テレビ解説の佐野稔さんも言っていましたが、こうなると「とにかく無事で滑り終わってくれ」ということしか考えられません。
応援するもなにもあったもんじゃないですね。
6分間練習もせずにいきなり滑って、それでもいくつかのジャンプは成功させていたし、頭がふらふらしていただろうに、スピンもしていたし。
なんというか、想像を絶するファイトでした。
そして羽生選手も、頭に包帯、顎には止血という状態で、4回転ジャンプに挑んでいました。
こちらはいちおう6分間練習はしていたけれど。
衝突の影響は大きかったはず。
それでも予定していたジャンプの要素は(後半の4回転トウは回避したものの)すべて跳ぼうとしていたし(5回転倒)。
ふたりとも、とにかく無事に最後まで滑りましたね。
どちらの演技中にも、途中から「もうええよ、もうええよ」という言葉しか出てこなくなっていました。
そして、点数。
びっくりしましたね。
ハン・ヤンは、思っていたような点数だったけど、羽生選手は一人を残しての1位得点。
なんかもう、よおわかりません。
羽生選手、涙涙。
それを見て、テレビの前のおじさん(わたくし)も涙涙。
ふたりのアスリート魂(そんな言葉はあまり好きじゃないですけど)を見ましたね。
脱帽です。
次の大会まで、ふたりとも少しは間があるので、しっかり体を治して、「本来の演技」を見せてほしいですね。
2014年11月3日月曜日
9月・10月の読書
9月の読書感想文を書いていないなあと思っているうちに、10月も飛び去ってしまい、もはや11月も2日(日付が変わったのですでに3日ですね)です。いやはや。
もう、何かをやり遂げようとか、そういう欲もなくなってきました。
ちょっと言い訳をするなら、あんなにタイガースが、最後の方まで頑張るとは思いませんでした。
切れかけたエンジンを何度かふかしなおすような気分で、かえって疲れました。
でもいつもより長く楽しませてくれたので、これはこれでよしとしましょう。後はまた来年、ということで。
というわけで、9月の半ばから10月いっぱいにかけて読んだ本の一覧です。
【炎上する君】西加奈子(角川書店)
行ってきましたよ、西加奈子さんの講演会。いやあ楽しかったなあ。ますますファンになりました。新刊も発売なったから、買いに行こうかな。
【超高速!参勤交代】土橋章宏(講談社)
突如幕府から言い渡された参勤交代命令。しかも日数がほとんどない。お金もない、人材もない藩主がどうやって幕府の横暴に立ち向かうか、という痛快なお話です。映画化もされましたか。確かに映画的。
【絶対!うまくなる 合唱100のコツ】田中信昭(ヤマハミュージックメディア)
絶対うまくなりそうなので、手元に1冊置いておきたくて、ついつい買ってしまいました。
【トップスケーターの流儀】中野友加里(双葉社)
これからソチオリンピックのシーズンに入るスケーターに元スケーターで現テレビ局職員となった中野友加里がインタビューしています。もともと友人だった人たちに聞いているので、肩肘張らず、時折本音も垣間見えて楽しいですね。
【スーラ】トニ・モリスン(大社淑子訳・早川書房)
貧しい地区に生まれ育った子どもたち。秘密を共有することになった二人の行く末。サスペンスタッチですな。
【ガープの世界】ジョン・アーヴィング(筒井正明訳・サンリオ出版)
アーヴィングの出世作ですね。いつも長編を書くんだけれど、どこか短編の寄せ集めのようなところもありますね。一つ一つのエピソードは面白いんだけど。まあ好き好きかなあ。あと、アメリカに詳しくないと面白さは半減するかな。
【結婚は人生の墓場か?】姫野カオルコ(集英社文庫)
【リアル・シンデレラ】姫野カオルコ(光文社文庫)
【銀二貫】高田郁(幻冬舎文庫)
時代小説なんだけど、大阪が舞台で、しかも商人が主人公というところがいいですね。つまりサムライの論理が通用しない。そこが痛快です。わたくしにとっては。そして感動的です。
【男と点と線】山崎ナオコーラ(新潮文庫)
なんか普通っぽいようにみえて、「え?」と思わせる。そんな話だったような(すみません、憶えていません)
【プラネタリウム】梨屋アリエ(講談社文庫)
【ピアニッシシモ】梨屋アリエ(講談社青い鳥文庫)
【スリースターズ】梨屋アリエ(講談社文庫)
いろんな人の思いが交差する連作「プラネタリウム」が面白かったので、続けて同じ作家のものを読んでみたんですけど、「ピアニッシシモ」はいろんなものを短い中に詰め込みすぎたみたいで、「スリースターズ」は、途中は面白かったけれど、だんだんライトノベル調になったところでパワーダウン。でも、長い話でも最後まで読ませる力量を感じます。無理して短い話にしないで、長いものを書いてくれたらなあ。
【創作の極意と掟】筒井康隆(講談社)
ちょっとふざけて「創作」について書いているのかと思わせておいて、実はシリアスなことをしっかりと書いている、というこの作家独特の言い回し。堪能します。
【りすん】諏訪哲史(講談社文庫)
芥川賞受賞の「アサッテの人」に続く作品。全編会話。意気込みは認めるけれど。ちょっと空回り気味。余分なことが多すぎたかな。でも書いておかないとわからないこともあるから、難しいですね。で、そんな作家の苦労はよくわからず、読み手は、面白いか面白くないかで判断してしまうのです。
【獣の奏者-外伝・刹那-】上橋菜穂子(講談社文庫)
本編「獣の奏者」に出てくるエリンの出産話など。ファンタジーなんだけどリアル、というところがこの作家の特徴なのでしょうが。こんな話、読みたいかなあ、というのが正直なところ。ドラマはあるけれど、伝えたいものは何だったんだろう。
【わたしがいなかった街で】柴崎友香(新潮社)
もう、何かをやり遂げようとか、そういう欲もなくなってきました。
ちょっと言い訳をするなら、あんなにタイガースが、最後の方まで頑張るとは思いませんでした。
切れかけたエンジンを何度かふかしなおすような気分で、かえって疲れました。
でもいつもより長く楽しませてくれたので、これはこれでよしとしましょう。後はまた来年、ということで。
というわけで、9月の半ばから10月いっぱいにかけて読んだ本の一覧です。
【炎上する君】西加奈子(角川書店)
行ってきましたよ、西加奈子さんの講演会。いやあ楽しかったなあ。ますますファンになりました。新刊も発売なったから、買いに行こうかな。
【超高速!参勤交代】土橋章宏(講談社)
突如幕府から言い渡された参勤交代命令。しかも日数がほとんどない。お金もない、人材もない藩主がどうやって幕府の横暴に立ち向かうか、という痛快なお話です。映画化もされましたか。確かに映画的。
【絶対!うまくなる 合唱100のコツ】田中信昭(ヤマハミュージックメディア)
絶対うまくなりそうなので、手元に1冊置いておきたくて、ついつい買ってしまいました。
【トップスケーターの流儀】中野友加里(双葉社)
これからソチオリンピックのシーズンに入るスケーターに元スケーターで現テレビ局職員となった中野友加里がインタビューしています。もともと友人だった人たちに聞いているので、肩肘張らず、時折本音も垣間見えて楽しいですね。
【スーラ】トニ・モリスン(大社淑子訳・早川書房)
貧しい地区に生まれ育った子どもたち。秘密を共有することになった二人の行く末。サスペンスタッチですな。
【ガープの世界】ジョン・アーヴィング(筒井正明訳・サンリオ出版)
アーヴィングの出世作ですね。いつも長編を書くんだけれど、どこか短編の寄せ集めのようなところもありますね。一つ一つのエピソードは面白いんだけど。まあ好き好きかなあ。あと、アメリカに詳しくないと面白さは半減するかな。
【結婚は人生の墓場か?】姫野カオルコ(集英社文庫)
【リアル・シンデレラ】姫野カオルコ(光文社文庫)
【ツ、イ、ラ、ク】姫野カオルコ(角川文庫)
色んな顔を見せてくれる姫野カオルコ。ある意味で「恐怖小説」ともいえる「結婚は人生の墓場か?」。希望を垣間見せる「リアル・シンデレラ」。リアルでかつファンタジーに溢れる(と思うのはわたくしだけ?)「ツ、イ、ラ、ク」。どれも圧倒的なパワーを感じます。ジャンル分けのできない作家ですね。でも間違いなく、どれも姫野カオルコであるところがすごいです。
時代小説なんだけど、大阪が舞台で、しかも商人が主人公というところがいいですね。つまりサムライの論理が通用しない。そこが痛快です。わたくしにとっては。そして感動的です。
【男と点と線】山崎ナオコーラ(新潮文庫)
なんか普通っぽいようにみえて、「え?」と思わせる。そんな話だったような(すみません、憶えていません)
【プラネタリウム】梨屋アリエ(講談社文庫)
【ピアニッシシモ】梨屋アリエ(講談社青い鳥文庫)
【スリースターズ】梨屋アリエ(講談社文庫)
いろんな人の思いが交差する連作「プラネタリウム」が面白かったので、続けて同じ作家のものを読んでみたんですけど、「ピアニッシシモ」はいろんなものを短い中に詰め込みすぎたみたいで、「スリースターズ」は、途中は面白かったけれど、だんだんライトノベル調になったところでパワーダウン。でも、長い話でも最後まで読ませる力量を感じます。無理して短い話にしないで、長いものを書いてくれたらなあ。
ちょっとふざけて「創作」について書いているのかと思わせておいて、実はシリアスなことをしっかりと書いている、というこの作家独特の言い回し。堪能します。
【りすん】諏訪哲史(講談社文庫)
芥川賞受賞の「アサッテの人」に続く作品。全編会話。意気込みは認めるけれど。ちょっと空回り気味。余分なことが多すぎたかな。でも書いておかないとわからないこともあるから、難しいですね。で、そんな作家の苦労はよくわからず、読み手は、面白いか面白くないかで判断してしまうのです。
【獣の奏者-外伝・刹那-】上橋菜穂子(講談社文庫)
本編「獣の奏者」に出てくるエリンの出産話など。ファンタジーなんだけどリアル、というところがこの作家の特徴なのでしょうが。こんな話、読みたいかなあ、というのが正直なところ。ドラマはあるけれど、伝えたいものは何だったんだろう。
【わたしがいなかった街で】柴崎友香(新潮社)
芥川賞受賞おめでとうございます。この作品ではないですね。過去に起こった出来事が現在につながっている。過去に、その場所に、わたしはいなかったんだけれど。いたら、どうなっていただろう。なんていうことをぐるぐるぐるぐると考えるような。私小説でもなくSFでもなく。不思議な感覚です。
野球のシーズンも終わり、フィギュアスケートの応援にシフトしています。
毎年、今年は200冊ぐらい読もう! と目標を立てるのですが、毎年果たせずに終わっています。
今年もそうなりそうな気配。
まあ、たくさん読めばいいというものではないですけどね。
でも、どんな本でも、読んでみなければ、面白いかどうかはわからない。
たとえ多くの人が絶賛したとしても、自分の心に響くかどうかはわからない。
だから読むしかないのですね。
楽しむためには、ある程度の忍耐と苦労も必要ということですか。
今年もあと2ヶ月。
年末に向かって忙しさは増すばかりですが、乱読はやめられません。
2014年9月16日火曜日
【獣の奏者】上橋菜穂子
ちょっと秋めいてきましたかねえ。すでに9月も半ばを過ぎましたし。名月もスーパームーンも終わってしまいましたね。
何度も「今度こそ継続して書くようにしよう」と思うのですが、思いつきはすぐには実行に移すことができず、今に至っています。もう何度も決心した自分が情けない。もうあまり自分を信用しないほうがいいのかもしれませんね。55歳を過ぎて、未だにこんなことで悩んでいるのです。多分一生悩み続けるのでしょうね。いやはや。
【獣の奏者】を続けて読みました。「闘蛇編」に続き「王獣編」さらに「探求編」「完結編」まで。
いちおう「王獣編」までの2作で一段落なのですね。そこで語られていたのは、ある王国の物語。そして、避けられない運命。分かり合えない「獣」と「人間」の世界。そしてほんの僅かな希望。
人として生きていくためには避けられない生き方。あまりにも厳しい現実。
「闘蛇編」では、王国リジェを守るために育てられる「闘蛇」、その生育を任されているエリンの母親が、多くの闘蛇を一夜のうちに死なせてしまうことで罪に問われ、残酷に処刑されてしまいます。残されたエリンは、見知らぬ養蜂家に育てられ、やがて生命の不思議に触れていきます。
「王獣編」では、王国の象徴として飼われていた王獣が、実は闘蛇をも凌駕する力を持っていることが分かり、さらにエリンはその王獣のうちの一頭リランを育てることになります。リランと心を交わせるようになればと願うエリンですが、それは恐ろしい運命の扉を開くことにもなるのです。
こんなもの、こどもが読んでも分かるのかいな。と思いますが、作者は、分かってくれようがくれまいが、そんなの関係ないと思っているかもしれません。心に残る物があればそれでいいと思っているのかも。
たしかに、心に残るものがあります。大人が読むと、余計に。
続編として書かれた「探求編」「完結編」は、さらに難しい。成長し、息子を設けたエリンが、昔からの言い伝えをひとつずつ解き明かしていくさまが中心なのですが、ファンタジーなのに、血沸き肉踊るような場面は、最後の方になってやっと出てくるだけで、多くはこの作品世界の成り立ちや、過去の悲劇がどのように起こったのかの謎解きになっています。そして巻き起こるあらたなる悲劇。
ちょっと都合が良すぎる、というところもありますけれど、これもまあ小説ですから。
それに、作者が伝えたかったことは、はっきりと伝わります。それはもう、何の隠し事もなく、というかたちで。
何度も「今度こそ継続して書くようにしよう」と思うのですが、思いつきはすぐには実行に移すことができず、今に至っています。もう何度も決心した自分が情けない。もうあまり自分を信用しないほうがいいのかもしれませんね。55歳を過ぎて、未だにこんなことで悩んでいるのです。多分一生悩み続けるのでしょうね。いやはや。
【獣の奏者】を続けて読みました。「闘蛇編」に続き「王獣編」さらに「探求編」「完結編」まで。
いちおう「王獣編」までの2作で一段落なのですね。そこで語られていたのは、ある王国の物語。そして、避けられない運命。分かり合えない「獣」と「人間」の世界。そしてほんの僅かな希望。
人として生きていくためには避けられない生き方。あまりにも厳しい現実。
「闘蛇編」では、王国リジェを守るために育てられる「闘蛇」、その生育を任されているエリンの母親が、多くの闘蛇を一夜のうちに死なせてしまうことで罪に問われ、残酷に処刑されてしまいます。残されたエリンは、見知らぬ養蜂家に育てられ、やがて生命の不思議に触れていきます。
「王獣編」では、王国の象徴として飼われていた王獣が、実は闘蛇をも凌駕する力を持っていることが分かり、さらにエリンはその王獣のうちの一頭リランを育てることになります。リランと心を交わせるようになればと願うエリンですが、それは恐ろしい運命の扉を開くことにもなるのです。
こんなもの、こどもが読んでも分かるのかいな。と思いますが、作者は、分かってくれようがくれまいが、そんなの関係ないと思っているかもしれません。心に残る物があればそれでいいと思っているのかも。
たしかに、心に残るものがあります。大人が読むと、余計に。
続編として書かれた「探求編」「完結編」は、さらに難しい。成長し、息子を設けたエリンが、昔からの言い伝えをひとつずつ解き明かしていくさまが中心なのですが、ファンタジーなのに、血沸き肉踊るような場面は、最後の方になってやっと出てくるだけで、多くはこの作品世界の成り立ちや、過去の悲劇がどのように起こったのかの謎解きになっています。そして巻き起こるあらたなる悲劇。
ちょっと都合が良すぎる、というところもありますけれど、これもまあ小説ですから。
それに、作者が伝えたかったことは、はっきりと伝わります。それはもう、何の隠し事もなく、というかたちで。
2014年9月9日火曜日
映画【ものすごくうるさくて、ありえないほど近い】(2011年・アメリカ)
中秋の名月です。外に出たら、大きなお月様が出ていました。
で、月だけ撮っても芸がないですね。面白みがないというか。撮った時は「きれいに撮れた!」と感動モノだったのですが。
テレビで放映していた【ものすごくうるさくて、ありえないほど近い】を見ました。
原作を読んでいたので、どんなふうに映像になっているのか、とても興味がありましたね。
公開時、マックス・フォン・シドーが、最年長でアカデミー賞にノミネート、というのも話題になっていたし。きっといい映画なんだろうと。
で、確かにいい映画でしたね。
子役のトーマス・ホーンがとてもいい。これ、どうしてこの子が何かの賞をとるとかなかったのかなあ。
原作は、出版された本の可能性を広げようとしているような、そんな書き方というか体裁がとても斬新でしたが、さすがに映像ではその斬新さはなくなってしまいますね。
それと、原作では9.11と、おじいさんが体験した第二次大戦での出来事とがどこかでつながったこととして、重層的に語られるのですが、映画ではおじいさんのエピソードはほんの背景になってしまっていたのが、ちょっと残念かな。
でも、映画の長さを考えると、致し方無いですね。
それでも、原作も持っていた一つのテーマ(だとわたくしは思う)である、「分かり合うこと」の難しさと大切さは、よく伝わっていたと思います。
映像も丁寧で、音楽も押し付けがましくなくて、よかったです。
ああ、自分で書いて、よく分かりました。
この映画、押し付けがましさが無いですね。映画の中の時間は、ゆったりと流れているように感じられるし。そこがいい。
2014年8月31日日曜日
8月の読書
今年は広島カープかなあ、などと思っています。あ、今、タイガースの試合を見終わったところなので。この夏はいろんなことがあったし、前からカープは良いチームだなあと思っていたし(カープファンになろうかなあと考えたこともあった(今も考えている?)し)。
そんなこんなで8月も終わりますね。
【フォトグラフール】町田康(講談社)
いろんな写真に、面白おかしく文章を添える。その発想は昔からあると思いますけど、さすが町田康は、スカシ方とかが他とは違うなあ。ま、それだけですけど。
【be soul】高橋大輔(祥伝社)
【乗り越える力】荒川静香(講談社)
【ステップ・バイ・ステップ】小塚崇彦(文藝春秋)
フィギュアスケーターシリーズ3冊。三人三様。感覚的、感情的で、ややコンプレックスもあるけれど前向きになろうとするバンクーバー五輪前の高橋大輔。金メダルの実績から若い人たちに伝えたいことを誠実に綴る荒川静香。常に冷静に一つ一つの演技や競技を振り返る小塚崇彦。それぞれのスケートのとおりやなあと思えるところもあって、興味深いです。個人的に、わかりやすいけどおもしろみのないのが小塚、屈託だらけでよくわからないけれど興味が尽きないのが高橋、といったところです。
【大阪学】大谷晃一(新潮文庫)
【続大阪学】大谷晃一(新潮文庫)
【大阪学 文学編】大谷晃一(新潮文庫)
大阪独特の地域性、個性はどこから来たのか、を解き明かそうとする試みです。3冊続けて読むと、「武家社会ではなかったこと(江戸時代では稀有なことだったらしい)」が大きな転換点であったように思えます。そして自分を振り返った時に、まさにこのとおり、と思うことが多くて、その理由が解き明かされるようで、となると自分の立つところがここ、と言われているようで、大阪人としてはありがたい読み物でした。
【ゴランノスポン】町田康(新潮文庫)
題名については本作を読んでもらうとして。町田康得意のバックドロップを楽しみましょう。
【空飛ぶ馬】北村薫(創元推理文庫)
北村薫のデビュー作(短編連作)。落語家探偵(と呼んでいいのか)円紫さんと古典研究の大学生(わたし)が謎を解明していきます。血なまぐさい事件は起こらないけれど、本格的な推理モノとして楽しめますね。
【獣の奏者-闘蛇編-】上橋菜穂子(講談社)
上橋菜穂子はあまり興味がなかったのですが、テレビで見る機会が何度かあって、まあ読んでみようかなと思ったわけです。さすがに物語の展開が面白いです。児童文学なんだけど、ちょっと強烈な場面も。それでも「読ませる」技術はすばらしいですね。続きがすぐに読みたくなりました。
【月は無慈悲な夜の女王】ハインライン(ハヤカワ文庫)
SF名手ハインラインの1967年ヒューゴー賞受賞作。2067年、地球の植民地となっていた月で反乱が起きる。主導するのはコンピュータエンジニアのマニー。協力するのは「感情を持つ」コンピュータ「マイク」。武器を持たない「月人類」に勝ち目はあるか?
さすがに時代がかった設定と言えなくもないですが、映像化したら今でも受けるんじゃないかという内容でもありますね。それだけ先進的だったということもできるし、ここからSFがそれほど発展していないんじゃないかという懐疑的な見方もできてしまいます。まあそんなややこしいことを考えずに楽しめる冒険談ではあります。
【名演奏のディスコロジー】柴田南雄(音楽之友社)
1977年の雑誌連載をまとめたもの。その当時の「先進的」「前衛的」な音楽・演奏について、作曲家柴田南雄が思いのままに批評を展開しています。はっきりと「これは私好み」「これは今の私の好みじゃない」と言ってくれるので、あれこれ詮索せずにそれぞれの演奏について知ることができます。ただし、あくまでも柴田氏の視点で、ということですが。
それにしても、これが書かれてからもう35年以上が経っているというのに、いまだにシェーンベルクもウェーベルンも「古典」にはなり得ていない、という事実は、どうなんですかねえ。
【パーク・ライフ】吉田修一(文藝春秋)
芥川賞受賞作。公園で出会う人達と主人公とのふれあい。みたいな話だったかな。すみません、あまり覚えていません。こういう「私小説」は語り手である主人公に共感できるかどうかが大事だと思うのですが、どうもこの主人公とは分かり合えないようです。
【地下の鳩】西加奈子(文藝春秋)
そんなこんなで8月も終わりますね。
【フォトグラフール】町田康(講談社)
いろんな写真に、面白おかしく文章を添える。その発想は昔からあると思いますけど、さすが町田康は、スカシ方とかが他とは違うなあ。ま、それだけですけど。
【be soul】高橋大輔(祥伝社)
【乗り越える力】荒川静香(講談社)
【ステップ・バイ・ステップ】小塚崇彦(文藝春秋)
フィギュアスケーターシリーズ3冊。三人三様。感覚的、感情的で、ややコンプレックスもあるけれど前向きになろうとするバンクーバー五輪前の高橋大輔。金メダルの実績から若い人たちに伝えたいことを誠実に綴る荒川静香。常に冷静に一つ一つの演技や競技を振り返る小塚崇彦。それぞれのスケートのとおりやなあと思えるところもあって、興味深いです。個人的に、わかりやすいけどおもしろみのないのが小塚、屈託だらけでよくわからないけれど興味が尽きないのが高橋、といったところです。
【大阪学】大谷晃一(新潮文庫)
【続大阪学】大谷晃一(新潮文庫)
【大阪学 文学編】大谷晃一(新潮文庫)
大阪独特の地域性、個性はどこから来たのか、を解き明かそうとする試みです。3冊続けて読むと、「武家社会ではなかったこと(江戸時代では稀有なことだったらしい)」が大きな転換点であったように思えます。そして自分を振り返った時に、まさにこのとおり、と思うことが多くて、その理由が解き明かされるようで、となると自分の立つところがここ、と言われているようで、大阪人としてはありがたい読み物でした。
【ゴランノスポン】町田康(新潮文庫)
題名については本作を読んでもらうとして。町田康得意のバックドロップを楽しみましょう。
【空飛ぶ馬】北村薫(創元推理文庫)
北村薫のデビュー作(短編連作)。落語家探偵(と呼んでいいのか)円紫さんと古典研究の大学生(わたし)が謎を解明していきます。血なまぐさい事件は起こらないけれど、本格的な推理モノとして楽しめますね。
【獣の奏者-闘蛇編-】上橋菜穂子(講談社)
上橋菜穂子はあまり興味がなかったのですが、テレビで見る機会が何度かあって、まあ読んでみようかなと思ったわけです。さすがに物語の展開が面白いです。児童文学なんだけど、ちょっと強烈な場面も。それでも「読ませる」技術はすばらしいですね。続きがすぐに読みたくなりました。
【月は無慈悲な夜の女王】ハインライン(ハヤカワ文庫)
SF名手ハインラインの1967年ヒューゴー賞受賞作。2067年、地球の植民地となっていた月で反乱が起きる。主導するのはコンピュータエンジニアのマニー。協力するのは「感情を持つ」コンピュータ「マイク」。武器を持たない「月人類」に勝ち目はあるか?
さすがに時代がかった設定と言えなくもないですが、映像化したら今でも受けるんじゃないかという内容でもありますね。それだけ先進的だったということもできるし、ここからSFがそれほど発展していないんじゃないかという懐疑的な見方もできてしまいます。まあそんなややこしいことを考えずに楽しめる冒険談ではあります。
【名演奏のディスコロジー】柴田南雄(音楽之友社)
1977年の雑誌連載をまとめたもの。その当時の「先進的」「前衛的」な音楽・演奏について、作曲家柴田南雄が思いのままに批評を展開しています。はっきりと「これは私好み」「これは今の私の好みじゃない」と言ってくれるので、あれこれ詮索せずにそれぞれの演奏について知ることができます。ただし、あくまでも柴田氏の視点で、ということですが。
それにしても、これが書かれてからもう35年以上が経っているというのに、いまだにシェーンベルクもウェーベルンも「古典」にはなり得ていない、という事実は、どうなんですかねえ。
【パーク・ライフ】吉田修一(文藝春秋)
芥川賞受賞作。公園で出会う人達と主人公とのふれあい。みたいな話だったかな。すみません、あまり覚えていません。こういう「私小説」は語り手である主人公に共感できるかどうかが大事だと思うのですが、どうもこの主人公とは分かり合えないようです。
【地下の鳩】西加奈子(文藝春秋)
西加奈子。面白いです。先日の「漁港の肉子ちゃん」につづき、これを読めてよかったです。「地下の鳩」と「タイムカプセル」の2作。連作といっていいのかな。キャバレーの呼び込みをしている「吉田」と美人でもないバーのチーママの「みさを」の物語が中心の「地下の鳩」。その友人でもあるオカマバーの「ミミィ」の物語「タイムカプセル」。どちらも読んだあとに心に残るものがあります。子供の頃のトラウマ。与えた方は何も感じていないけれど、与えられた方はいつまでもそれに苦しむことになる。それをどう乗り越えるか、答えはないけれど。
月も変わります。明日からはどうかもうちょっとマシな毎日に、と願わずにいられません。
2014年8月5日火曜日
鹿島田真希 3題
あそこでは大雨、こちらでは猛暑と、日本の気候はどうなっているのかと思いますね。こんなんでオリンピックとかやって大丈夫なのかなとか。夏場じゃなくて、前回の東京五輪と同様に秋にやったらどうなのかなとか。オリンピックは夏のもの、というイメージが大きいから仕方ないかもしれませんが。
【ハルモニア】鹿島田真希(新潮社)
【女の庭】鹿島田真希(河出書房新社)
【暮れていく愛】鹿島田真希(文藝春秋)
前に読んだ「冥土めぐり」(芥川賞受賞作)が、まあまあ面白かったので、新刊が出た(ハルモニア)を機会にちょっとまとめて読んでみました。といっても、それぞれが短いものですから、すぐに読めてしまうのですけれど。
「ハルモニア」は、音楽大学に通う4人の学生たちの話。才能豊かな(でも他人との関係には無頓着な)ナジャを中心に。まあ話の中心は語り手「僕」とナジャとの恋愛、ということになるのかな。恋愛に関しても、「音楽を極める」手段としかとらえられないようなナジャと、それを知りつつ心惹かれる僕。理愛し合えないことを前提に理解する、という難しいことをやってるような気がしますね。まあそれって、日常でやっていることかもしれませんが。
音楽大学が舞台なのでということもあってか、いろんな例えが音楽用語や楽曲解説のように出てくるのですね。音楽に明るくない人が読んでも分かるのかなあ。シンフォニーのように恋愛する、って言われてもねえ。
「女の庭」は、ちょっと怖いです。マンションでの主婦たちの井戸端会議。隣に引っ越してきた外国人女性。多分ひとり暮らし。もちろん格好の噂の種。しかし、ふと自分も他人には同じように見られているのではないかということを考えると、恐ろしいし、そうならないように話を合わせようとしたりして。
「暮れていく愛」は、夫婦のモノローグが交互に出てくる構成。それぞれが相手を思いやり、思いやるあまりに苦しくなる。自分勝手に相手を束縛しているのではないか。いやひょっとしたら浮気をしているのかも。自分と居るのが嫌になった? そうならないようにしたい。いつも一緒にいたい。相手を自由にさせてあげたい。
相手を思いやることが相手を束縛することにつながるかもしれないのですね。愛は難しい。
どの話も、「相手との関わりをどうするか」ということを、とても突き詰めて書かれているなあと思いました。二重三重に物事を捉えだすと、無限ループにはまってしまいそうになるんですけど。そこが面白いと思いだしたら、自分自身が逃れられなくなりますね。
【ハルモニア】鹿島田真希(新潮社)
【女の庭】鹿島田真希(河出書房新社)
【暮れていく愛】鹿島田真希(文藝春秋)
前に読んだ「冥土めぐり」(芥川賞受賞作)が、まあまあ面白かったので、新刊が出た(ハルモニア)を機会にちょっとまとめて読んでみました。といっても、それぞれが短いものですから、すぐに読めてしまうのですけれど。
「ハルモニア」は、音楽大学に通う4人の学生たちの話。才能豊かな(でも他人との関係には無頓着な)ナジャを中心に。まあ話の中心は語り手「僕」とナジャとの恋愛、ということになるのかな。恋愛に関しても、「音楽を極める」手段としかとらえられないようなナジャと、それを知りつつ心惹かれる僕。理愛し合えないことを前提に理解する、という難しいことをやってるような気がしますね。まあそれって、日常でやっていることかもしれませんが。
音楽大学が舞台なのでということもあってか、いろんな例えが音楽用語や楽曲解説のように出てくるのですね。音楽に明るくない人が読んでも分かるのかなあ。シンフォニーのように恋愛する、って言われてもねえ。
「女の庭」は、ちょっと怖いです。マンションでの主婦たちの井戸端会議。隣に引っ越してきた外国人女性。多分ひとり暮らし。もちろん格好の噂の種。しかし、ふと自分も他人には同じように見られているのではないかということを考えると、恐ろしいし、そうならないように話を合わせようとしたりして。
「暮れていく愛」は、夫婦のモノローグが交互に出てくる構成。それぞれが相手を思いやり、思いやるあまりに苦しくなる。自分勝手に相手を束縛しているのではないか。いやひょっとしたら浮気をしているのかも。自分と居るのが嫌になった? そうならないようにしたい。いつも一緒にいたい。相手を自由にさせてあげたい。
相手を思いやることが相手を束縛することにつながるかもしれないのですね。愛は難しい。
どの話も、「相手との関わりをどうするか」ということを、とても突き詰めて書かれているなあと思いました。二重三重に物事を捉えだすと、無限ループにはまってしまいそうになるんですけど。そこが面白いと思いだしたら、自分自身が逃れられなくなりますね。
2014年8月4日月曜日
【舞台】西加奈子(講談社)
結局、この土日は雨雨雨で、タイガースの試合もなく、のんびりとした2日間になりました。まさに雨読状態。
【舞台】西加奈子(講談社)
この題名で、舞台はニューヨーク、となると「舞台人を目指してマンハッタンへやってきた日本人」の話かなと思ったら、全然違っていました。
29歳・無職の葉太は、父の遺産でニューヨーク・マンハッタンへと一人旅。初めての海外旅行、一人旅で、やりたかったことは「セントラルパークで本を読む」こと。借りていたアパートメントからセントラルパークのシープメドウへ。念願かなって、さて芝生の上で読書、と本を開いたところで、持っていたカバンを盗まれてしまいます。カバンの中には、パスポート、財布、クレジットカード、帰りのチケット...すなわち「すべて」が入っていました。突然の出来事に、なすすべなく立ち尽くし、薄笑いを浮かべるしかない葉太。しかし、「ニューヨークに着いた途端にカバンを盗まれたマヌケなやつ」と思われるのはいや。そこから、サバイバルな生活が始まるのです。
他人の視線を気にするあまり、おかしな行動にハマってしまうマヌケなやつ、なんですが。読む進むうちに、人間誰しもそういうところがあるよなあ、ということに気付かされます。このブログにしたって誰かに読まれることを想像して書いているわけですし。そういうはっきりとした行動でなくても、ちょっとしたこと(道を歩くこと、電車にのること、椅子に座って伸びをすること)や、儀礼的なことも含めて、わたくしたちの周りは「誰かに見られている」ことの連続なのだなと思います。
「自分らしく、正直に生きろ」と、言うのは簡単ですが、なかなかそうは行きません。結局は誰しもがこの世の中という「舞台」で、「自分」を演じ続けているだけ、なのかもしれませんね。
というふうに書いてしまうと、ありきたりな小説のように思われるかもしれませんが、さすがに西加奈子は違いますよ。
主人公の葉太に「こいつ、阿呆ちゃうか」とツッコみつつ、「ああ、あるある」と納得させられてしまいます。
【舞台】西加奈子(講談社)
この題名で、舞台はニューヨーク、となると「舞台人を目指してマンハッタンへやってきた日本人」の話かなと思ったら、全然違っていました。
29歳・無職の葉太は、父の遺産でニューヨーク・マンハッタンへと一人旅。初めての海外旅行、一人旅で、やりたかったことは「セントラルパークで本を読む」こと。借りていたアパートメントからセントラルパークのシープメドウへ。念願かなって、さて芝生の上で読書、と本を開いたところで、持っていたカバンを盗まれてしまいます。カバンの中には、パスポート、財布、クレジットカード、帰りのチケット...すなわち「すべて」が入っていました。突然の出来事に、なすすべなく立ち尽くし、薄笑いを浮かべるしかない葉太。しかし、「ニューヨークに着いた途端にカバンを盗まれたマヌケなやつ」と思われるのはいや。そこから、サバイバルな生活が始まるのです。
他人の視線を気にするあまり、おかしな行動にハマってしまうマヌケなやつ、なんですが。読む進むうちに、人間誰しもそういうところがあるよなあ、ということに気付かされます。このブログにしたって誰かに読まれることを想像して書いているわけですし。そういうはっきりとした行動でなくても、ちょっとしたこと(道を歩くこと、電車にのること、椅子に座って伸びをすること)や、儀礼的なことも含めて、わたくしたちの周りは「誰かに見られている」ことの連続なのだなと思います。
「自分らしく、正直に生きろ」と、言うのは簡単ですが、なかなかそうは行きません。結局は誰しもがこの世の中という「舞台」で、「自分」を演じ続けているだけ、なのかもしれませんね。
というふうに書いてしまうと、ありきたりな小説のように思われるかもしれませんが、さすがに西加奈子は違いますよ。
主人公の葉太に「こいつ、阿呆ちゃうか」とツッコみつつ、「ああ、あるある」と納得させられてしまいます。
2014年8月3日日曜日
【それでも前を向くために】高橋大輔(祥伝社)
今日は久しぶりに一日中雨でした。晴耕雨読そのままに、読書の一日です。
【それでも前を向くために】高橋大輔(祥伝社)
フィギュアスケーターシリーズ(勝手にそうなっていますが)の4冊目。今回はソチ五輪代表選考を間近に控えた時期の高橋大輔選手。
まえがきにあるように、どこか自分を見つめなおすために書いたようなところもありますね。それだけ正直な心境を綴っているともいえますが、思いのまますぎてよくわからないというか、まあ人間誰しも、自己矛盾な部分はあるから、そうなってしまうのは当たり前というところもあるんですけどね。
例えば、技術(体力)は大切だ、と言うてみたり、気持ちの持ちようだと言うてみたり、みたいなところ。鈴木明子にもありましたけど。つまりは両方がバランスよくいっているとうまくいくんでしょうけどね。というのは分かりますね。
ヘタレだけど負けず嫌い、というところは、四人兄弟の末っ子という共通項があるわたくしには(わたくしは姉が二人だけれど)よく分かります。
【それでも前を向くために】高橋大輔(祥伝社)
フィギュアスケーターシリーズ(勝手にそうなっていますが)の4冊目。今回はソチ五輪代表選考を間近に控えた時期の高橋大輔選手。
まえがきにあるように、どこか自分を見つめなおすために書いたようなところもありますね。それだけ正直な心境を綴っているともいえますが、思いのまますぎてよくわからないというか、まあ人間誰しも、自己矛盾な部分はあるから、そうなってしまうのは当たり前というところもあるんですけどね。
例えば、技術(体力)は大切だ、と言うてみたり、気持ちの持ちようだと言うてみたり、みたいなところ。鈴木明子にもありましたけど。つまりは両方がバランスよくいっているとうまくいくんでしょうけどね。というのは分かりますね。
ヘタレだけど負けず嫌い、というところは、四人兄弟の末っ子という共通項があるわたくしには(わたくしは姉が二人だけれど)よく分かります。
2014年8月2日土曜日
7月の読書
暑い日が続いていますね。と言っている間に、もう8月になってしまいました。あっという間ですね。
暑い日には外に出ず、読書あるいは音楽鑑賞あるいはテレビ。テレビも、気に入ったドラマや映画を録画しておいて、気に入った時間に(つまり涼しい状態で)見るのがよろしいですね。
この数日は本当に暑くて、家でじっとしていることが多かったので、読書も進みました。
【風】青山七恵(河出書房新社)
芥川賞作家の作品を久々に読みました。受賞作は、あまり印象にないのですが、確か村上龍と石原慎太郎が揃って会見したような記憶があります。
で、まあちょっと奇妙な味の家庭小説、といったところです。すみません、今回もあまり印象に残ってないので。
【バナナ剥きには最適の日々】円城塔(早川書房)
引き続き、芥川賞作家の新しい作品ですね。しょっとSFがかっていて、青山七恵よりさらに奇妙です。言葉遊び的なところもあるし。でも、ここまで行くとわたくしの趣味に入ってくるのですね。つまりは、よい読み手とはいえないのかもしれませんが。誰に迷惑をかけるわけでもないので、許してもらいましょう。
【穴】小山田浩子(新潮社)
はい、昨年の芥川賞受賞作ですね。
結婚して数年後、夫の元実家に引っ越すことになった夫婦。しかし、奥さんの周りには奇妙な出来事が次々に起こる。さらに、今まで知らされていなかった弟の存在まで。
大事件が起こるわけではないのですが、そこはかとなく、怖いです。
【猫語のノート】ポール・ギャリコ(灰島かり訳・筑摩書房)
【猫語の教科書】ポール・ギャリコ(灰島かり訳・筑摩書房)
猫好き作家、ギャリコの猫本2題。「ノート」は、最近よくある猫の写真にひとこと載せたようなものです。「教科書」は、「猫が、自分の手で(足で?)書いた、後輩たちへのメッセージ」という体裁の、実によくできた話です。最初の「どうやって人間の家を乗っ取るか」の章には、思わず笑ってしまいますね。
【余生返上】大谷晃一(ノア編集工房)
今年亡くなった、「大阪学」などの著書があり、テレビのコメンテーターとしても有名だった大谷さんの、たぶん、最後の本でしょう。
長年連れ添ってきた奥さんを亡くした空虚感。そこから立ち直って、またエッセイを書き始める話など、飾り気のない文章で綴られています。最後の「死亡記事」(自分の)が、なんとも。
【ひとつひとつ。少しずつ。】鈴木明子(KADOKAWA)
【蒼い炎】羽生結弦(扶桑社)
【空に向かって】安藤美姫(扶桑社)
【昭和の犬】姫野カオルコ(幻冬舎)
直木賞受賞作。姫野カオルコはわたくしと同世代です。だからここで言う「昭和」というのは、わたくしの感覚にぴったりマッチしてしまいます。それだけでもう半分以上気持ちのいいところに行ってしまいますね。
まだどこかに「戦後」が残っていた時代。この主人公のお父さんのような人は、確かにいましたね。ありそうもない話のようで、とてもリアリティがあります。そんな話が本当に「面白い」話なんでしょうね。姫野カオルコは、ちょっとこれからも気になりそうです。
【恋歌】朝井まかて(講談社)
【女のいない男たち】村上春樹(文藝春秋)
村上春樹の新刊ですね。いかにも春樹風の、中年の恋愛もの短篇集です。まえがきなどにだらだらと作品の作成経緯などを書くところも春樹流。
悪くはないんですけど、「さすが村上春樹!」とか「春樹でなくっちゃ!」と思わせるものには乏しいです。読者は贅沢なんです。
【漁港の肉子ちゃん】西加奈子(幻冬舎文庫)
最後に、7月の読書でのイチオシを紹介しましょう。
小学校高学年のキクりんこと喜久子の母親は、名前も同じ菊子(字が違う)だが、その風貌(不細工で太っている)から「肉子」と呼ばれている。そう呼ばれても、「肉子」はとても嬉しそう。そんなにブサイクなうえに、男にはホイホイとダマされる。借金を背負わされて必死で働かなければならないはめに、何度もなっている。それでも反省も公開もしない肉子ちゃん。多感な時期のキクりんには、そんな母親が時に疎ましくもあり、しかし心の底から大好きでもある。
流れ流れてたどり着いたとある漁港。そこにある焼肉屋で住み込みで(ということだろう)働くことになる。
海岸の三老人。変顔の二宮。フリフリ服のマリアちゃん。キクりんと肉子ちゃんを取り巻くいろんな人達の人間模様。
ありそうもないシチュエーションがあっても、なんでもかんでも笑い飛ばし、心のままにありのままに受け入れる肉子ちゃんの生き様に、きっと励まされることでしょう。
暑い日には外に出ず、読書あるいは音楽鑑賞あるいはテレビ。テレビも、気に入ったドラマや映画を録画しておいて、気に入った時間に(つまり涼しい状態で)見るのがよろしいですね。
この数日は本当に暑くて、家でじっとしていることが多かったので、読書も進みました。
【風】青山七恵(河出書房新社)
芥川賞作家の作品を久々に読みました。受賞作は、あまり印象にないのですが、確か村上龍と石原慎太郎が揃って会見したような記憶があります。
で、まあちょっと奇妙な味の家庭小説、といったところです。すみません、今回もあまり印象に残ってないので。
【バナナ剥きには最適の日々】円城塔(早川書房)
引き続き、芥川賞作家の新しい作品ですね。しょっとSFがかっていて、青山七恵よりさらに奇妙です。言葉遊び的なところもあるし。でも、ここまで行くとわたくしの趣味に入ってくるのですね。つまりは、よい読み手とはいえないのかもしれませんが。誰に迷惑をかけるわけでもないので、許してもらいましょう。
【穴】小山田浩子(新潮社)
はい、昨年の芥川賞受賞作ですね。
結婚して数年後、夫の元実家に引っ越すことになった夫婦。しかし、奥さんの周りには奇妙な出来事が次々に起こる。さらに、今まで知らされていなかった弟の存在まで。
大事件が起こるわけではないのですが、そこはかとなく、怖いです。
【猫語のノート】ポール・ギャリコ(灰島かり訳・筑摩書房)
【猫語の教科書】ポール・ギャリコ(灰島かり訳・筑摩書房)
猫好き作家、ギャリコの猫本2題。「ノート」は、最近よくある猫の写真にひとこと載せたようなものです。「教科書」は、「猫が、自分の手で(足で?)書いた、後輩たちへのメッセージ」という体裁の、実によくできた話です。最初の「どうやって人間の家を乗っ取るか」の章には、思わず笑ってしまいますね。
【余生返上】大谷晃一(ノア編集工房)
今年亡くなった、「大阪学」などの著書があり、テレビのコメンテーターとしても有名だった大谷さんの、たぶん、最後の本でしょう。
長年連れ添ってきた奥さんを亡くした空虚感。そこから立ち直って、またエッセイを書き始める話など、飾り気のない文章で綴られています。最後の「死亡記事」(自分の)が、なんとも。
【ひとつひとつ。少しずつ。】鈴木明子(KADOKAWA)
【蒼い炎】羽生結弦(扶桑社)
【空に向かって】安藤美姫(扶桑社)
フィギュアスケーターの著作を、まとめて読みました。著作、といっても、本人が書いただろうというのは鈴木明子のみで、あとの二人は青嶋ひろのがインタビューを再構成する、という形になっています。
となると、鈴木明子のものが選手の本音が出ているのか、といえば、そうでもないのですね。自分で書くとなると、どこか飾ってしまうところがあるのかなあ。いい言葉もあるんだけど、よく聞く人生訓だなあと思ってしまったり。当たり障りがないというか、「本人が書いた」という特殊性のようなものは薄いですね。
で、インタビュー中心の2冊は、逆に「ぽろり」と出てしまう本音があったり、あるいは聞き手である青嶋ひろのがその時感じた選手の思いのようなものが出ていて(というか、意識して書き起こしているのでしょうけど)、読み物としては面白いです。
ちなみに、鈴木明子のは最近の出版。羽生結弦は震災の年の、次の世界選手権を目指してようやくみんなの注目を集め始めだした時のもの。安藤美姫は、バンクーバー五輪の直前の心境。という風に時期がずれています。ということで、羽生、安藤の2冊は、「あの時、こんなことを思っていたのか!」という面白さもありますね。
直木賞受賞作。姫野カオルコはわたくしと同世代です。だからここで言う「昭和」というのは、わたくしの感覚にぴったりマッチしてしまいます。それだけでもう半分以上気持ちのいいところに行ってしまいますね。
まだどこかに「戦後」が残っていた時代。この主人公のお父さんのような人は、確かにいましたね。ありそうもない話のようで、とてもリアリティがあります。そんな話が本当に「面白い」話なんでしょうね。姫野カオルコは、ちょっとこれからも気になりそうです。
【恋歌】朝井まかて(講談社)
姫野カオルコと同時に直木賞を受賞した作品。
明治初期。歌人である師匠が入院することになり、身の回りの整理を頼まれた弟子の花圃は、若き日の師匠の手記を見つける。その内容は。。。。
幕末の混乱期に、江戸の商家から水戸家に嫁いだ登世。慣れない武家での暮らしに戸惑うばかり。その上、夫は水戸藩の内乱に巻き込まれ、自身も悲惨な境遇に。
波瀾万丈の展開なんですけど、正直、こういう「武家もの」は苦手です。結局は武士とその家族の生き方、生き様を美化しているような気がしてしまうのです。
それから、わたくし、幕末から明治維新にかけての歴史には、とんと疎いのです。薩摩がどうした、長州がどうした、御三家は、皇女和宮は。。。。と続くと、頭が混乱してしまいます。こういう歴史物が好きな人にはこたえられないのかもしれませんし、この程度の歴史は知っていて当たり前なのかもしれませんが。
「知っていて当たり前」という感覚は、どこかライトノベルに近いものがあるような気もしますね。ということで、歴史物が廃れないわけは、ライトノベルが廃れないことと同じような理由なのかもしれません。いや、もちろんこじつけですけど。
村上春樹の新刊ですね。いかにも春樹風の、中年の恋愛もの短篇集です。まえがきなどにだらだらと作品の作成経緯などを書くところも春樹流。
悪くはないんですけど、「さすが村上春樹!」とか「春樹でなくっちゃ!」と思わせるものには乏しいです。読者は贅沢なんです。
【漁港の肉子ちゃん】西加奈子(幻冬舎文庫)
最後に、7月の読書でのイチオシを紹介しましょう。
小学校高学年のキクりんこと喜久子の母親は、名前も同じ菊子(字が違う)だが、その風貌(不細工で太っている)から「肉子」と呼ばれている。そう呼ばれても、「肉子」はとても嬉しそう。そんなにブサイクなうえに、男にはホイホイとダマされる。借金を背負わされて必死で働かなければならないはめに、何度もなっている。それでも反省も公開もしない肉子ちゃん。多感な時期のキクりんには、そんな母親が時に疎ましくもあり、しかし心の底から大好きでもある。
流れ流れてたどり着いたとある漁港。そこにある焼肉屋で住み込みで(ということだろう)働くことになる。
海岸の三老人。変顔の二宮。フリフリ服のマリアちゃん。キクりんと肉子ちゃんを取り巻くいろんな人達の人間模様。
ありそうもないシチュエーションがあっても、なんでもかんでも笑い飛ばし、心のままにありのままに受け入れる肉子ちゃんの生き様に、きっと励まされることでしょう。
2014年7月29日火曜日
【メルトン先生の犯罪学演習】ヘンリ・セシル(大西尹明訳・創元推理文庫)
「晴耕雨読」というのは昔の話。今や晴れた日には外出禁止。エアコンを効かせた部屋でじっとしているのがいいらしいです。
それが理由でもないのですが、読書に励んでいます。まあ相変わらずといったところで。
大学で法律の講義をしているメルトン先生は、とにかく講義内容が面白くないことで有名です。教科書通りの話をとつとつと話すだけで、学生にはちっとも人気がありません(大学側には「きっちりとした授業をする」ということで評判がいい)。
ところがある日、うっかり駅のホームでつまづいて頭を強打。幸いかすり傷ですんだのですが、それからというもの、講義で何かを話しだすと、我知らず物語が心のなかから湧いてきて、授業とは関わりのない話を延々としだすようになってしまいます。
というわけで、法律のたとえ話の内容が、とても面白い物語になってしまって、学生たちには大うけになってしまうのですね。それが前半の短篇集。
その後、先生の話に触発された学生が書いた物語が続き、さらには「頭がおかしくなった」と思われて、病院送りになってしまった先生が、同室の患者さん相手にまたまた沸き上がってくる話、というのも続きます。
それぞれがよくできた、ひねりの効いた話です。まあちょっと古臭くはありますが。
ヘンリ・セシルという人、あまりよく知らないです。翻訳もちょっと古臭い。まあ「これでなければ」という物語でもないので、こんなものなのかなという気はしますね。
それが理由でもないのですが、読書に励んでいます。まあ相変わらずといったところで。
大学で法律の講義をしているメルトン先生は、とにかく講義内容が面白くないことで有名です。教科書通りの話をとつとつと話すだけで、学生にはちっとも人気がありません(大学側には「きっちりとした授業をする」ということで評判がいい)。
ところがある日、うっかり駅のホームでつまづいて頭を強打。幸いかすり傷ですんだのですが、それからというもの、講義で何かを話しだすと、我知らず物語が心のなかから湧いてきて、授業とは関わりのない話を延々としだすようになってしまいます。
というわけで、法律のたとえ話の内容が、とても面白い物語になってしまって、学生たちには大うけになってしまうのですね。それが前半の短篇集。
その後、先生の話に触発された学生が書いた物語が続き、さらには「頭がおかしくなった」と思われて、病院送りになってしまった先生が、同室の患者さん相手にまたまた沸き上がってくる話、というのも続きます。
それぞれがよくできた、ひねりの効いた話です。まあちょっと古臭くはありますが。
ヘンリ・セシルという人、あまりよく知らないです。翻訳もちょっと古臭い。まあ「これでなければ」という物語でもないので、こんなものなのかなという気はしますね。
2014年7月17日木曜日
【深夜プラス1】ギャビン・ライアル(菊池光訳・ハヤカワ・ミステリ文庫)
ギャビン・ライアルが何者かも知らずに読んだのです。めったにハードボイルド物は読まないのですけれど。この「深夜プラス1」という題名がなんとなく魅力的に見えまして。この題名の意味は「午前0時1分」ということのようです。
元レジスタンスの探偵が引き受けた仕事は、ある実業家をオランダからリヒテンシュタインまで送り届けるということ。ただし彼は婦女暴行の容疑で指名手配されているらしい。その上リヒテンシュタインに行ってもらっては困るらしい同業者がいて、命の危険もある。
という話だったような(すでにうろ覚え)。
細かい点はともかく、警察の裏をかきつつ、どこからか狙っているかもしれない殺し屋からも身を守らなければならない。一人ではとても無理、なのだが、相棒に選ばれたのはアル中のスナイパー。どこまで信用できるのだか。
そういう人間関係の面白さもあり、さらに戦争(第二次大戦)直後の、元レジスタンス仲間との交流もあり(そのあたりはちょっと時代がかっているけれど)。そして何より、命を狙っているのが本当は誰なのか、最後までその正体が明かされないというところがミステリアス。その両方があってこそ、犯罪小説探偵小説(時代がかってますね)は生きてくるというものですね。
元レジスタンスの探偵が引き受けた仕事は、ある実業家をオランダからリヒテンシュタインまで送り届けるということ。ただし彼は婦女暴行の容疑で指名手配されているらしい。その上リヒテンシュタインに行ってもらっては困るらしい同業者がいて、命の危険もある。
という話だったような(すでにうろ覚え)。
細かい点はともかく、警察の裏をかきつつ、どこからか狙っているかもしれない殺し屋からも身を守らなければならない。一人ではとても無理、なのだが、相棒に選ばれたのはアル中のスナイパー。どこまで信用できるのだか。
そういう人間関係の面白さもあり、さらに戦争(第二次大戦)直後の、元レジスタンス仲間との交流もあり(そのあたりはちょっと時代がかっているけれど)。そして何より、命を狙っているのが本当は誰なのか、最後までその正体が明かされないというところがミステリアス。その両方があってこそ、犯罪小説探偵小説(時代がかってますね)は生きてくるというものですね。
2014年7月6日日曜日
【介護入門】モブ・ノリオ(文藝春秋)
梅雨でジメジメ。何となく気分も重いですね。いかにも梅雨。空梅雨とか言われていたけれどね。どうもそうでもないらしい。各地で被害も出てるらしいです。気をつけないと。といっても相手は自然なので、手のうちようがないというところもありますが。
【介護入門】モブ・ノリオ(文藝春秋)
モブ・ノリオの芥川賞受賞作。自身の祖母の介護体験をもとに書かれたものらしい。ストーリーらしきものはあるようでないようで。介護している自分の心情を吐露している(それもかなり「現代的」な表現で)というところが新しいとされたのかも。
しかし、正直、こういう作品は読みにくいです。単語の(もっと言えば文字の)持っている印象(あるいは読者が感じる印象)がそのまま文字になってます。時々言葉の羅列でしかないのではないかというところがあり、そうなると読み手は一度自分の中で言葉を並べ直すか咀嚼し直すかして読み進めないといけないのですね。それはなかなかめんどくさい。
短い小説なのに、読むのに骨が折れました。
そして、こういう文章の方法は、別の作品に活かせるのだろうかという疑問もわきます。別のテーマで同じ方法を使っても、同じような印象にしかならないのではないか。つまり物語の内容まで踏み込んで感じることが難しくなるのではないかという危惧が生まれるわけです。
まあ、きちんとした読み手だと、そういう苦労はなんということもないのかもしれません。そう、賞の審査をする人達はきっといい読み手なんでしょう。
【介護入門】モブ・ノリオ(文藝春秋)
モブ・ノリオの芥川賞受賞作。自身の祖母の介護体験をもとに書かれたものらしい。ストーリーらしきものはあるようでないようで。介護している自分の心情を吐露している(それもかなり「現代的」な表現で)というところが新しいとされたのかも。
しかし、正直、こういう作品は読みにくいです。単語の(もっと言えば文字の)持っている印象(あるいは読者が感じる印象)がそのまま文字になってます。時々言葉の羅列でしかないのではないかというところがあり、そうなると読み手は一度自分の中で言葉を並べ直すか咀嚼し直すかして読み進めないといけないのですね。それはなかなかめんどくさい。
短い小説なのに、読むのに骨が折れました。
そして、こういう文章の方法は、別の作品に活かせるのだろうかという疑問もわきます。別のテーマで同じ方法を使っても、同じような印象にしかならないのではないか。つまり物語の内容まで踏み込んで感じることが難しくなるのではないかという危惧が生まれるわけです。
まあ、きちんとした読み手だと、そういう苦労はなんということもないのかもしれません。そう、賞の審査をする人達はきっといい読み手なんでしょう。
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