2015年9月26日土曜日

【ヘンデル】クリストファー・ホグウッド(三澤寿喜訳・東京書籍)

今度、ヘンデルを歌うのです。「主は言われた」という、あまりメジャーじゃない曲。
で、ヘンデルのことをちょっと調べてみようと思ったのですが、これがほとんど資料がない。
あるのは「メサイア」のことばかり。

ヘンデルは「1曲だけの作曲家」とも揶揄されているらしい。そういえばバッハほどは曲のバラエティがない。思いつく曲が少ない。

そんなことで関連書籍がほとんどないに等しい。
やっと見つけたのがこれ。
古楽演奏のパイオニア(というより第二世代というべきか)のクリストファー・ホグウッドによる著作。
日本語版序文には、日本でメサイアの指揮をした折、その後のレセプションで
「ヘンデルって、オラトリオ以外に曲を作っているのですか?」
と出演者から訊かれた、というエピソードを書いている。

ヘンデルはバッハやモーツァルトほど、手紙を書かなかったらしい。おかげで、生前から人気作曲家であったにもかかわらず、その私生活はほぼ謎のままであるらしい。
そういうわけで、この著作も、その出典の多くはかつての伝記作家がヘンデルの弟子から聞書きしたものを下敷きにしている。

で、肝心の内容ですが。
はっきり言って、あまり面白くありません。

元の書き方が面白く無いのか、翻訳がまずいのか。
おそらくその両方だと思われます。
オペラ「ジュリアーノ・チェザーレ」というのは、まあその通りに発音するのかもしれないけれど、普通は「ジュリアス・シーザー」と言いますわな。
「マスク」は「仮面劇」としておいてくれた方が、読みやすい。

そのあたりは、巻末の注にまとめてあるので、参照すれば済む話ではあるのだけれど。
本編500ページのその巻末にある資料をいちいちめくるのは骨が折れる。

つまりは、そういう労力を惜しまない「研究」のためなら、この著作はある程度役に立つ、といったところ。
特段楽しいエピソードが載っているわけでもなく、前述のように、人間ヘンデルについての謎は解明されないまま。
そして、英国では常識と思われる前提(歴史的な)については、ほとんど説明もなし。
極めつけは巻末年表に、略号(QT劇場とか)の説明が一切載っていない。

なんとか最後まで読むには読んだけれど。

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