2015年9月22日火曜日

島本理生 さらに

【生まれる森】島本理生(講談社文庫)
【ナラタージュ】島本理生(角川書店)

「生まれる森」は、芥川賞候補にもなったそうで。
ちなみにその時受賞したのは金原ひとみと綿矢りさ。
そう聞くと、これも一緒に受賞してもいいんちゃうのん、と思ってしまう。
ひと夏の恋の物語。と言ってしまえばあっさりしているけれど。
それがどれだけ重たいものがを考えさせる。

わたくしのようなおっさんになってしまうと、主人公の気持ちになったり、ということは出来ないのですが(あたりまえ)、なにか甘酸っぱい思いがこみ上げてくるのは間違いないのです。


「ナラタージュ」は、長編で、ちょっと読むのがしんどかった。
この作家、短編が多いので、余計にね。
高校の演劇部が、文化祭での演し物に人数が足りない、ということで卒業生その他が出ることに。
卒業生の一人・泉の視点で物語が進む。
高校時代の顧問・葉山先生はそのまま顧問を勤めている。
泉は、葉山先生とのあいだにある秘密があったのだった。

というわけで。
前半はどうも話がとろとろと進んで、まあよくある恋愛ものかなあ、などと思っていたのですが。
後半になると俄然物語は波乱に富んでいく、というか、いろんな展開を見せていくのですね。

人と人との心のつながりの有り様は、人によりいろいろ。
時には、他人には理解できないこともあるだろう。
それは、本人たちにも苦しいものなのかもしれない。
きれいごとだけじゃない、苦しみと喜びを感じます。

ちょっと前半部の、高校での演劇までが長くて、残念かなあと思います。
全部読み切ったあとの感慨が大きかったので、余計に。

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