2016年6月12日日曜日

【邪眼-うまくいかない愛をめぐる4つの中編】ジョイス・キャロル・オーツ(栩木玲子訳・河出書房新社)

キャロル・オーツの新作、らしい。どうやら近年は旺盛な創作活動をしているらしいから、ほんまに新作かどうかは分からんけど。

「邪眼」著名な心理学者の「四番目の妻」となったマリアナ。そこへ「最初の妻」イネスが姪と一緒に訪ねてくる。何一つ悪びれることのない夫。やってきたイネスは、片目がなかった。そしてマリアナは、今まで気が付かなかった夫の本性に気がつくことになる。

などという物語が4つ。
どれもこれも、ちょっと歪んだ愛情が絡んでいる。

「すぐそばに いつでも いつまでも」
題名だけだと純愛モノのようだが、実はストーカーの話。それもとても心理の深いところに入り込んでくるもので、読み終わってからも恐ろしさが残る。

「処刑」
淡々とした思考で両親の殺害を実行しようとする息子。だがそれはもう一人の「彼」。生き残った母親は。。。

「平床トレーラー」
セックス恐怖症?には理由があった。と思われるけれど、果たしてそれは事実だったのか? 

なんだか、物語の底のさらに底があり、そのうえに裏側までありそうな話ばかり。
近年は毎年ノーベル賞候補に名前が上がるらしい。なんとなくだけど、ノーベル賞の雰囲気ではないけれどね。でも面白い。恐ろしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿