ごく最近の作品(2011年)。今までとちょっと色合いが違っている、らしい。
確かに。
男に媚びるとよく言われる私・熊田由里に、高校の同級生だったという向伊という男から電話がかかる。惹かれるように向伊と会い、惹かれてしまう熊田。
そして1年、2年、3年と年を経て、二人の距離は近づいていき。
で、男に惹かれてどうしようもない道にいってしまう、というだけだったら今までたくさんあった同類の小説と何も変わらない。
そんなことはありません、本谷有希子は。
私は向伊とのシンパシーを感じつつ、いつかは見返してやろうという気概を持ち続ける。
さらに終盤になると、私・熊田のモノローグそのものが怪しくなってくる。この物語は、果たしてこのまま信じてよいものだったのかどうか。
なんてことまで考えてしまう。考えさせてしまう。なんという手腕!
0 件のコメント:
コメントを投稿