2015年5月3日日曜日

【突然ノックの音が】エトガル・ケレット(母袋夏生訳・新潮社)

短篇集、というよりほとんどショート・ショートですね。
作者はイスラエルの人で、もとはヘブライ語で書かれたようです。表紙に書いてある現代が全く読めませんでした。

で、内容はとても面白いです。いやあ、全部、なにか「変」です。
ノックの音がして扉を開けると、銃を突きつけられて「話をしろ」と言われる作家とか。
キスをしたら舌先がぴりっとした。よく見ると相手の舌の裏側にジッパーがある。そおっと開けてみると前の彼氏が・・・・とか。

寓意に満ちていると言えますが、それがあるところでリアリティも感じさせるのですね。これはちょっと難しいというか、なかなかできないことだと思うんですけど、空想小説の一番大事なところで、「絶対にあり得ない」ことを「あるかも?」と思わせないと面白くないのですね。そこのところ、とてもうまいと思います。
それって、作者の住んでいる(たぶん)イスラエルという国のバックボーンがそうさせているのかな。と書いてしまうと、決まりきったようで面白くないのですが。

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