2015年8月16日日曜日

【運命の本】井上ひさし(文藝春秋)

昨日(8月14日)、夏休みをとって、森之宮にできたキューズモールに行ってきました。
思ったほど広くはないショッピングモール。その一角に「まちライブラリー」というのがあります。
利用者同士が本を持ち寄り、図書館(のようなもの)を作って、コミュニケーションを図ろうという取り組みで、全国に広がっているらしいです。
森之宮にあるまちライブラリーは、カフェと併設されていて、カフェで何かを注文すると席に座ってゆっくり読める、というシステム(注文しない場合は立ち読みのみ)。

たくさんある中から1冊、2冊を選んで、カフェオレを注文して、約2時間、ゆったりとした読書を楽しみました。

【運命の本】井上ひさし(文藝春秋)
で、手にとったのが上記の本。
脚本家、小説家、読書家として知られる井上ひさしが、架空の(たぶん)講演会という形で語った、本との出会いを中心とした自伝的エッセイ。
講演会のようなので、まるでこちらに語りかけてきているような感触です。
そして話の内容がすこぶる面白い。
東北の田舎で、図書館には97冊しか蔵書がなかったこと。終戦後、自宅に貯蔵していた闇米をこっそり持ちだして東京まで売りに出かけた話。そこで今まで手にしたことのない「野球界」という雑誌を買って帰った話。入所していた児童施設にイギリスから送られてくる洋書(児童施設がキリスト教系で、本部がイギリスだったらしい)を、どうせ読み手がいないだろうからとこっそり(!)東北大学近くの古書店で売りさばいて、そのお金で映画を見まくった話。
本を買い込みすぎ溜め込みすぎ、ついに家の床が抜けてしまった話。
離婚を機に蔵書を整理したところ、3万冊ぐらいだろうと思っていた冊数が13万冊だった話。その内の一部を寄贈してほしいとある大学の図書館に頼まれたが、ほかの本も全て面倒見てくれと言ったら断られたので、すべての申し出を断った話。
結局、故郷の山形県川西町に、劇場を併設した図書館を設立することになった話。

どれもこれも驚くべき内容。そしてとても面白い。
文字通りに、一気に読んでしまいました。
案外、やんちゃなことをやり続けたのだな(それも結構年齢が進んでも)と感心することしきりでした。


ブックカフェのようなところには、初めて入ったのだけれど、図書館ほど雑然としていなくて、まあコーヒー代ぐらいはかかるのだけれど、時々時間を過ごすのにはいいかもしれないと思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿