2015年8月17日月曜日

【ビブリア古書堂の事件手帖6-栞子さんと巡るさだめ】三上延(メディアワークス文庫)

「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズもいよいよ佳境に入ったらしいです。
というか、そろそろネタ切れ(^◎^;)の印象も。

前作(5)が、古書の内容がちょっといい加減なものになっていっているような印象だったので、ぼちぼちガソリンが切れてきたのかなと心配していました。
今回は全編が太宰治。「走れメロス」「駈込み訴」「晩年」の3作です。
そしてそれぞれの章にちょっとずつ解決はあるのですが、最後にどーんとまとまって大きな謎が解ける、というからくり。

正直言って、古書のうんちくを色々述べられるより、これくらいハラハラ・ドキドキ、そして謎解きの面白さが勝ったほうが、読んでいて面白いですね。
まあそれだけ、シリーズを読んできてある程度、古書の世界に親しんだ、という下地がこちらに出来たからということもあるでしょうけど。
それだけにシリーズ物は難しいでしょうね。
ここまで書き続けている作者には、頭が下がります。

さて、先に書いたように、今回は全編を通しての推理が見もの(読みもの、というのかな)です。
かつて栞子さんと太宰治の「晩年」の奇観本をめぐって傷害事件まで犯した田中俊雄が、別の「晩年」を探してほしい、という依頼をしてくる。それはかつてある教授の書庫から盗まれたことがあった。後日、取り戻したのは栞子さんの祖父。しかし書庫はほぼ密室。どうやって犯人は本を盗んだか。その一切について、祖父は語らなかった。それはなぜか。そして今、その本はどこにあるのか。

どうです。謎だらけでしょう。
でまあ、推理小説としては「?」と思わなくもないのですが(古書マニアにしか分からない仕掛けがあったりして)、探偵小説としては十分楽しめますね。

ただ、栞子さんと五浦くんが、はっきりカップルとなってしまったのが、さて今後作品にどう影響するのかが気になります。いまでもちょっと、あざといラブコメ風なところが見受けられるので。

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