2015年8月7日金曜日

【さくらんぼの性は】ジャネット・ウィンターソン(岸本佐和子訳・白水社)

西加奈子のブログで、「今、ジャネット・ウィンターソンを読んでます」というのがあったので、さて、どんな作家なのかなと思って読んだのでした。

17世紀のイギリス。テムズ川で拾われたジョージと、育ての親「犬女(ドッグウーマン)」との物語。
人並み外れた(というか、ほとんどモンスターのような)体格と力を持った「犬女」は、わが子ジョージと愛するイギリス王のために、破壊と殺戮を繰り返す。そして二人の旅の行き着く先は。。。

という話がいちおう中心にあるのだが、物語は時間と空間を自由に行き来し、突然現代の世界銀行やペンタゴンに乗り込んで、片っ端からカタをつける。その爽快さ。

かと思えば、空飛ぶ都市や塔に住む姫君などのファンタジーも突然入ってきて。

はい。
物語世界では「なんでもあり」なんですね。
そしてその「なんでもあり」を、物語自身が語ってしまう。
とっちらかっているようで、これはとても頭のいい人でないとかけない物語なのです。

それに、大事なことは、物語の主義主張はとても一貫しているということ。
だから突然時空が飛んでいっても、違和感なく読み進めることができるのですね。

巻頭の「ホビというインディアンの種族の言語には、時制がない。これは何を意味するか」
という、意味するところを解き明かそうとした、大変な作品だと思います。
すばらしい。

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